text：深沢 誠・鉄道ホビダス編集部
photo：羽田 洋
1982年の6月23日に東北新幹線が開業し、それに遅れること5ヶ月程経った1982年11月15日、上越新幹線が開業しました。当時、東北・上越新幹線は様々な事情から大宮発着だったため、大宮〜上野間は在来線による「新幹線リレー号」にて行なわれていました。そんな新幹線からのリレーという大役を任されたのは当時東海道本線の特急「踊り子」でデビューしたばかりの185系でした。今回は先日発売されたTOMIXの185系200番代「新幹線リレー号」のディテールを見ながら、当時の車両の様子を振り返っていこうと思います。
↓緑帯の185系200番代「新幹線リレー号」のNゲージ写真はこちら！↓
■東北・上越新幹線の名脇役
1982（昭和57）年に開業した東北新幹線と上越新幹線。 都区内側での工事が難航していたこともあり、 当初は大宮までの暫定開業とされ、上野〜大宮間は在来線を走行する「新幹線リレー 号」での運転でした。車両は特急「踊り子」と して運転を開始したばかりの185系をベースに耐寒・耐雪および横軽通過装備を追加した200番代が投入されました。185系200番代は、 新前橋区に所属し、急行を主体に使用されていた165系の置き換えを目的として製造されたグループですが、当初より「新幹線リレー号」としての使用も見込まれており、東北新幹線のカラーリングとの調和を図るため、クリーム10号に緑14号の帯を締めたデザインとなった経緯があります。
登場は1981（昭和56）年12月、デビューは 翌82年3月のダイヤ改正で、当初は165系が受け持っていた急行「ゆけむり」「草津」「あかぎ」 や普通列車などの運用を置き換える形で、当時はヘッドマークもシンプルな文字マークとなっていました。置換途中は165系と共に運用されており、 異種併結運転も見ることができました。
同年6月には東北新幹線が暫定開業し、前述の 「新幹線リレー号」の運転を開始しました。なお、同列車は当初455系や115系による運用も存在していましたが、この年の11月に185系200番代が増備されたことで消滅、同時に前述の急行が特急に格上げされ、特急「谷川」「白根」「あかぎ」のラインナップとなりました。1985（昭和60）年3月には東北・上越新幹線が上野まで開通し、「新幹線リレー号」の運転も終了。 同時に東北・高崎線方面の特急・急行列車が、 新たに設定された種別「新特急」に整理・統合されました。この時、余剰となった一部の編成が田町電車区へと転属、特急「踊り子」で斜めストライ プの0番代に混じって運行が開始されました（後に検査入場の際に斜めストライプに塗り替え）。
■ファン待望の「原型スカート」！今年TOMIXから登場した緑帯の185系
TOMIXからは東北・上越新幹線の開業から40年の節目の年を記念して、 開業当初の上野〜札幌間の旅路をイメージしたメモリアル製品が4種類リリースされる予定となっています。その第一弾としてリリースされたのが、上野からのトップバッターである「新幹線リレー号」で活躍していた185系200番代です。
TOMIXでは、2019年に185系をフルリニューアル。当初発売されたのは「踊り子・強化型スカート」製品で、2021年に湘南色をブロックパターンのアクセントとした「踊り子・新塗装・強化型スカート」製品がリリースされています。いずれの製品も0番代と200番代がそれぞれラインナップされている一方で、スカートは強化型となった2010年頃以降の姿がモチーフとなっており、実車の定期運行終了を意識したメモリアル製品だとも言えます。
今回の製品は東北新幹線開業当初の200番代がプロトタイプとなっており、クリーム10号に緑14号の帯を巻いたフォーマルな装いのカラーリングがリニューアル製品では初登場。スカートは華奢な印象の原型スカートを新規金型で再現しており、これを待望していたファンも多いことでしょう。
製品は国鉄時代を意識したものとなっており、側面のJNRマークが印刷済となっているほか、民営化直前に設置された列車無線アンテナの装着も考慮されていません。そのほかにも細かな点が近年の同社製品に合わせて変更されて おり、前面のTNカプラーが胴受の小さい実感的なタイプとなっているのを始め、連結面側のTNカプラーも配管付きのタイプに変更、車体にクツズリとドアレールの印刷が追加されるなどブラッシュアップもされています。
令和のモデルとして再登場した「原型スカート」の185系。1980〜90年代に見られたバリエーションのモデル化にも期待したいところですね。
↓緑帯の185系200番代「新幹線リレー号」のディテールに迫るNゲージ写真はこちら！↓
