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関西に残った最後の103系 鉄道150周年の節目の日、懐かしいスカイブルーの「国電」は今…?

2022.10.14

text & photo:芦原やちよ

 新大阪駅から快速電車で40分ほど揺られ、到着した兵庫駅。駅周辺は商業施設やマンションが立ち並ぶ市街地、少し離れると工場や倉庫が密集した工場地帯となっていますが、ここから1駅間を往復するだけの小さい1本のローカル線が走っています。それが今回訪れた「和田岬線」です。和田岬線は全長3kmにも満たない路線ですが、扱い上は山陽本線の支線となっています。
 そんな和田岬線を走るのは、国鉄を代表する通勤型電車であった103系です。かつて全国で活躍した同車も今では数えるほどになりましたが、今回は貴重な国電の生き残りとして活躍する和田岬線の103系の様子を見に行ってきました。

■最後の「オリジナル0番代」の103系

 総製造両数3447両、改造編入車を含めると3503両にものぼる103系一族ですが、現在では少数がJR西日本とJR九州に残るのみとなりました。そんな中で最後に残ったオリジナルの0番代として活躍するのがこの和田岬線 6両の「R1」編成です。
 運用としては朝夕に数往復する程度のもので、日曜日に至っては朝と夕方にそれぞれ1往復するのみとなっています。路線も短く踏切なども点在することから全速力で走ることは営業ではありませんが、所属区所となる網干総合車両所 明石支所に入・出庫する際は山陽本線を豪快に飛ばす姿が見られ、こちらの人気も非常に高くなりつつあります。

 現在、現役で活躍する103系のうち、和田岬線用を除けば地下鉄直通用であったり、先頭車化改造で番代区分が変化していたりしていますが、このR1編成はそのものズバリな0番代の生き残り。まさに孤軍奮闘ということもあり、近年注目されつつあります。

■随所に感じられる「懐かしさ」 R1編成魅力のディテール

▲ワイパーは3分割された窓それぞれに1本ずつ設置されている。

 このR1編成は6両とも1973(昭和48)年製。和田岬線では2001(平成13)年の電化開業時から活躍している編成で、それ以前は森ノ宮に所属し大阪環状線で活躍していました。6両全車が延命N40工事施工車となっており、戸袋窓はもちろんなく、窓サッシも黒色になっていたりと見た目的にはオリジナルと変わっているポイントも多いですが、N40工事のためベンチレーターが残存していたり、兵庫方3両には妻窓が残されていたりと、オリジナルの雰囲気が残る箇所も存在します。

 そしてこのR1編成は前面窓、行先・運行番号表示窓のガラス支持が黒Hゴムのまま残されており、関西圏の103系に多く存在した金属枠化がされていないところも特徴であります。前面窓のワイパーが分割された窓それぞれに1本ずつ、計3本あったりはしますが、103系の新製時の面影が色濃く残っていると言え、懐かしい「103系の顔」を今もなお感じることができる車両でもあります。

 また、駅での停車中聞こえてくるMGやコンプレッサー、ブロワーの作動音は抵抗制御車が闊歩していた時代を思い出させる音で、折り返しに伴い駅ではそこそこな時間停車していることも多く、その間に五感で「国電」を感じることができるのもまた和田岬線の魅力の一つと言っていいのではないでしょうか。

■おわりに

 東日本地区では全車引退して10年以上が経過、延命工事などを受けその後も多くが活躍していた西日本や、地下鉄直通で活躍していた九州でも引退が相次いでいる103系。来年は103系誕生から60年となる節目の年となりますが、様々な地域、様々な時代の日常の足を支えた電車の今後はどうなっていくのか、その去就に注目していきたいですね。

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