9月30日(金)に、特急「北斗」で長年活躍してきた制御式振り子特急型車両キハ281系が定期運行から引退となります。この函館~札幌間を結ぶ看板特急「北斗」の歴史を紐解いてみましょう。
▲札幌方にリバイバルカラーとなったキハ281-901を連結した特急「北斗」。P:松下直之
「北斗」の列車名が歴史上最初に登場したのは戦後間もない1950年。この時は上野~青森間を結ぶ夜行急行で、今の道内特急とは青函連絡船を経由しての北海道連絡列車だったという連続性があります。現代の函館始発の特急という意味では、1965年に函館~旭川間1往復という体制で「北斗」はデビューしました。この時の使用車両はもちろんキハ82系で、「おおぞら」「おおとり」に次ぐ3つ目の道内特急としての登場でした。
▲SLブームの頃、長大編成で走るキハ82系「北斗」。P:佐上 剛(新規投稿より)
▲スラントノーズのキハ183系0番代で運転されたリバイバル「北斗」(団体臨時列車)。P:石原幸司
▲国鉄末期に登場したキハ183系500番代は、今までのイメージを覆すカラーリングでした。P:RM
ほどなく運転区間は函館~札幌間に短縮・統一され、本数も増加。1983年からは2代目車両としてキハ183系(この時はスラントノーズの0番代)、国鉄末期~JR初期には貫通型のキハ183系500/550番代も投入されます。1988年の青函トンネル開通と前後して、「北斗」の性質は対本州との連絡というよりは、道内主要都市である札幌~函館をいかに短時間で結ぶか、というところに主眼が置かれるようになります。
▲「スーパー」のつかない「北斗」として長年活躍したキハ183系。P:石原幸司
キハ183系も一部が速度向上改造によって最高速度130km/hを発揮するようになりましたが、抜本的な高速化のために導入されたのが、制御式振り子車両のキハ281系です。同系が投入された列車は愛称も「スーパー北斗」とされ、函館~札幌間を最速2時間59分、表定速度106.8km/hの在来線特急最速を誇りました。気動車が電車を差し置いて在来線最速の座を獲得したのは、この時が史上初です。
▲気動車特急=鈍足という常識を覆す、胸のすくような高速を発揮したキハ281系。P:石原幸司
▲キハ283系(左)は「スーパー北斗」としては少数派で、写真は臨時運用の時のもの。P:近藤勇介
キハ281系に次いで、後継のキハ283系も「スーパー北斗」で活躍していた時期があります。さらに2016年からはキハ261系1000番代も投入されており、キハ281系引退後は本系列で統一となります。なお、キハ183系は2018年に「北斗」の定期運用から撤退、残された「スーパー北斗」は、2020年に「スーパー」が取れて再度全列車が「北斗」となっています。
▲異例なほど長期間新製がつづき、ついに「北斗」もこのキハ261系1000番代で統一されます。写真は新旧塗装が混在の過渡期の状況。P:丹野功一
少々寂しい話ですが、「北斗」の最高速度は現在120km/hに落とされ、所要時間は最速で3時間33分、表定速度は89.8km/hとなっています。かつての韋駄天ぶりは影を潜めましたが、北海道新幹線開業までこの大動脈を守り続けるであろう「北斗」。最後まで目を離さないでおきたいものですね。
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本シリーズでは、取り上げた列車について、皆さんからの秘蔵の写真を募集し、「みんなで作る」アルバムを構成したいと考えています! 今回の「北斗」については、1965年の特急としてのデビューから現在に至るまで、時代や状況は問わず、「北斗」が写っている写真であればOK! 皆さんの撮影エピソードや、「北斗」に対する思い出なども添えて、ぜひご投稿ください!
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