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特集・コラム

鉄道模型の建物は色を変えるだけで結構変わります。「既製品」を「自分色」にしてみた!

2022.09.09

text & modeling:瀧口宜慎(RMM)
photo:羽田 洋

 今や製品豊富な日本型Nゲージストラクチャーですが、製品化されていない業種や分野の建物を探す方が難しいくらいです。そんな中製品が豊富になったがゆえに、販売店舗でのスペースとの兼ね合いなどで欲しいときに欲しい製品が店頭にないなどといった事態も見受けられます。一方で、老舗Nゲージメーカーが古くからリリースするロングセラー製品のストラクチャーは、いつも模型屋さんの店頭にあってかつ、価格もリーズナブルな製品だったりもします。ここではKATOのロングセラーストラクチャーに塗装だけで印象を変える軽工作をしてみたいと思います。

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■地上駅舎を筆塗りで屋根色を変えてみる

 KATOのストラクチャーの中には、明るいグリーンの屋根を持つ製品がいくつかあります。いずれも鉄道関連施設なので統一的な印象を出すために同じ屋根色を使っ ているのと、KATOのブランドカラーがグリーンということもあってでしょうか、この製品は長くこの姿で生産され続け、KATOのストラクチャーの代表製品のような印象があります。しかし、明るい色が故に、 製品を買ってそのままレイアウトに組み込むと、緑の屋根色が情景の中ではやや浮いた印象になってしまいます。 ただ、製品自体のディテールはシャープそのもので、構造もしっかりしています。何よりこの地上駅舎は1,000円でお釣りがくるほどリーズナブルな製品なので、そのままにして おくのはもったいない! ということで、筆塗りで屋根色を変えてみました。

 屋根色を塗る前に、まずは屋根を取り外すために分解します。完成品ストラクチャーはしっかりとした作りで、分解は難しそうなイメージがありましたが、各部を良く 確認するとツメやボスだけで組み上がっており意外にも簡単に屋根パーツが外せました。

●完成!

 屋根の塗装完了後、窓サッシの色入れ、看板類や改札の小加工を行ないました。その完成形を見ていただきましょう。

■橋上駅舎編をエアブラシで屋根とサッシを塗る

 今回取り上げたKATO製の緑屋根のストラクチャーの中で、一番古くから売られているのがこの橋上駅舎です。現在では後継の「近代形橋上駅舎」に主力製品の座を譲った感はありますが、まだまだしっかりとした作りで、リーズナブルさにおいては負けてはいません。よく見ればそれほど古い建物というわけではないので、こちらも塗装でブラッシュアップしてみます。

 ▲こちらは橋上駅舎。外観は1960年代後半から1980年代初頭に作られた雰囲気の外観で、屋根の妻面の明かり窓が印象的。緑の屋根と並んで明るい水色の柱類もプラスチックの質感が出ていて何とかしたいもの。

●完成!

 階段などの関係でパーツが多そうに見える橋上駅舎ですが、良く出来たもので以外にパーツ点数も少ない上に、分解・組立がしやすく、それでいて塗装や色差しなどで見違えるように変わっ てくれる製品でした。ここではその仕上がりをご覧ください。

■KATOの電車庫を近代的な雰囲気の車庫にブラッシュアップ!

 3つ目のアイテムは緑色屋根シリーズ(?)の中で唯一のイージーキットスタイルとなる電車庫。数あるNゲージの車庫建屋の製品の中では類例のない近代的なスタイルです。しかしここでも緑色の屋根に少々浮いてしまう印象があります。同社のイージーキット「詰所」の屋根縁がダークブラウンなのをイメージして、こちらも屋根色をダークブラウンで塗ってみました。製品がキッ トのため分解する必要はなく、屋根パーツをエアブラシでダークブラウンに塗りました。

●完成!

▲屋根、コンクリートブロック、 作業員出入口を塗り完成した電車庫。一般乗客向けの建物ではないだけに、安全へのスローガンや、注意喚起のシールを貼るともっと雰囲気は盛り上がるはず。

 製品を箱から出して組み立てたままレイアウトやジオラマに組み入れても、なんだか「そのまま」感が拭えませんが、こうして簡単な塗装の一手間をかけるだけでたちまち自分だけものにすることができますし、何より愛着も湧くというもの。製品の印象を手間をかけずとも変えるちょっとしたスパイスとして、このような塗装術もあるのです。

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※こちらの記事は『RM MODELS 237 2015年5月号』の記事から抜粋しており、情報は当時のものとなります。あらかじめご了承ください。

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