modeling & text & photo：根本貫史（RMM）
車両やレールは一通り揃い、そろそろフロアーレイアウトから固定式レイアウトを持ちたい。しかし使える予算は1万円…。レイアウトのサイズはおよそ一畳。それなりに大きいレイアウトを、手持ちのレール＋1万円で製作することは出来るのでしょうか？そこで今回は、100円ショップや手頃な製品を使い、実際に作ってみることにしました。
※記載の価格は記事掲載当時の2009年3月現在のものです。
↓製作の詳しい様子はこちら！↓
■レイアウトプラン
所有する車両の多くが通勤型電車なので、複線でビルが建ち並ぶ都会的なイメージのレイアウトにしたいと思いプランを練りました。基本的には運転を楽しむのはもちろん、部屋のインテリアとして手放しで走行シーンを楽しめるように、ポイントのないシンプルな楕円のエンドレスプランにしました。しかし普段から楕円エンドレスで楽しんでいる際に、余りのシンプルさと直線距離の短さに物足りなさを感じていたので、勾配を設けて楕円をもう半周増やしたゼムクリップ状の立体的なプランに発展。当然ながらスペースも広がり、全長1200mm程度の予定から、およそ一畳分の1820mmになりました。
■レイアウトのベースを考える
プランも決まったところで、いよいよ本題のレイアウト製作に入ります。固定式レイアウトを作るには、レイアウトパネルにレールを固定して風景を作り込むわけで、ミニレイアウトであれば机上に置いて楽しむことが出来ますが、一畳クラスのレイアウトとなると、定位置に配置するための脚場が必要になります。一般的なのは、イレクターなどでブロック状の脚を組むか、木材を切出してレイアウトベースと一体で組むという方法になり、日曜大工レベルの作業が必要なのと、予算もベースだけで1万円以上かかってしまいそうです。そこで冒頭にもある通り、100円ショップで販売されている製品や、手頃な価格で入手できる素材を探してみることにしました。
レイアウトパネルは、画材店で扱っている木製パネルが安価で大きさも数多く選べるのでその中からP30というサイズ（910×652mm）を2枚横方向（1820×652mm）に連結して使用しました。本来の一畳サイズであれば縦方向にパネル3枚でほぼ同寸（1956×910mm）となるところですが、部屋のスペースの都合上、奥行約300mmの差は大きく、予算の都合もあるので2枚使いとなりました。パネルは1枚2,000円前後で販売されており、近所に画材店がなければ、ネット通販で入手することもできます。これで予算10,000円のうち、4,000円使ったことになります。
続いて脚については、100円ショップ大手のダイソーで折りたたみテーブル用の脚が1脚500円で売られているのを発見し、これを使用することにしました。脚の長さ（完成時の高さ）はレイアウト天面からおよそ700mmで、一般のテーブルと同じ高さになります。これを四隅と補助で中心2脚使用するので合計6脚、3,000円也。レイアウトパネルと合計して予算は残り3,000円となりました。
■残額3,000円でどこまでできるか？
本来なら建物2個程度しか買えない金額ですが、ここからが100円ショップの本領発揮です。冒頭にある通り、レイアウトプランは都会をイメージ。そうとなればビルなど大きめのストラクチャーを大量に用意しなければいけませんが、今回は手持ちのビル数棟は使うものの、大半のビルは自作することにします。また、駅舎やホームについても、コスト削減というのが最大の理由ですが、レイアウトの風景が駅中心の街並みだけで完結してしまうというのを避けるため、駅舎のスペースを必要としない地下駅という設定にしました。しかも地面を掘り下げずに地下区間を再現するという高架レールを使ったアイデアです。そのほか道路などの製作方法は「この記事のすべての画像をみる」ボタンからご参照ください。
■10,000円弱で完成!
結果から言えばレイアウトのベースと自作ストラクチャーで予算10,000円に対してややオーバーの12,000円程度でひとまず完成しました。今回は手持ちのレールや素材を加えていますが、レールから一式揃えたとしても3万円以内で完成します。作り込むイメージでは、都会のシーンよりローカル風景の方が低予算でできそうですが、樹木やパウダー類などシーナリー用品を揃えるコストが意外と掛かり、基本平地で箱の集合体で形成される都会の方が、自作であれば安く上がります。都会型レイアウトをこれから作ろうという方に、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
※こちらの記事は『RM MODELS 165 2009年5月号』の記事から抜粋しており、情報は当時のものとなります。あらかじめご了承ください。
