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特集・コラム

ジオラマが「回る」!?走って回して眺めて楽しむ新感覚Nゲージレイアウト作品たち!

2022.08.27

modeling:B作(@Btoretsukuru
text:上石知足(鉄道ホビダス)

 ここ数年、その独特の視点と今までになかった鉄道模型の魅せ方で、Twitterを中心に話題となっているモデラー「B作」さん。特に完成したレイアウトを凝ったカメラワークと編集で類を見ない迫力ある視点から撮影された動画や写真が人気を博しています。
 最近では、寿司桶をベースとした「回転ジオラマ」が大ヒット。ぐるぐる回る寿司桶に逆らうように逆向きで列車を走らせると、背景が流れて模型と並走しているかのように見えるという、これまであまりなかったスタイルの「動き」で楽しませてくれるジオラマ作品でもあります。さらにその展開として雲の上の虹色レールを走る「ぐるぐるレインボーライン」 も製作。精密に渦を描いて虹色の線路を走る様はレイル・ファンでならずとも見入ってしまう美しさと可愛らしさがあります。

 そんなB作さんの作品を紹介しつつ、自身が自宅でどのようにレイアウトを楽しんでいるのか、実際に本人が撮影した写真も交えながら、作品以上の「アイテム」としてどう魅力的に見えるようになるかについてご紹介していこうと思います!

■ふたつの「回る」レイアウト

 今回主にご紹介するのは、中心に山と崖、レールの外側は築堤の斜面で構成されたレイアウト「国鉄無限線」と、美しいレインボーカラー で塗装された道床付きレールが、ぶつかりそうでぶつからないよう緻密に組まれた「ぐるぐるレインボーライン」の2種類です。ベースとなるのはどちらも市販の寿司桶をベースとした「回転寿司桶」で、仕組みはレイアウト部分となる上部が着脱式となっており、同じ回転台ながら、上部を変えるだけで全く別のレイアウト作品になるという、拡張性の高いものとなっています。

 また、構造もシンプルながら扱いやすくなっており、不具合が起こった時の点検のしやすさもしっかり考慮され、作品ながら「誰でも難なく扱える」ようになっているところもまたポイントです。そのためか、動作も非常に安定しており、しっかりセッティングすることさえできれば、問題なく動作するのも、元来の完成度の高さゆえのものと言えるでしょう。

■無限に回る「国鉄無限線」

 

 まずはこちら、「国鉄無限線」 を見ていきましょう。確かに、ぐるぐる回り続けるその様は「無限」そのもの。レイアウトのみならず、実際に走らせてみると案外見入ってしまうその動きは、見た人たちも「無限」の魅力に夢中になってしまいます。 情景の構成は固定式ではなく上下分割式 で、土台となる築堤部分に、ガイドに合わせて上部に山を配置します。こうすることでメ ンテナンスも容易なうえ、山の部分を変えるだけで簡単に別の情景とすることもできます。なお、現在「紅葉の山」パーツも製作済みとのこと。これに載せかえることで季節に応じた楽しみ方も可能となります。 

 さて、改めてこの回転寿司桶ですが、動力は某通販サイトで300円という破格で販売 されていたというパワーユニット。それにレコードプレーヤーの回転盤のジャンクと、タ ミヤのギアボックスを組み合わせたというシロモノ。そしてまるで音響機器製品のように整った見た目をしていてカッコいい操作パネル部分は 、 枠部分のみ3Dプリンタで出力したもの。さらにスイッチ類は全て「パチン」と決まる操作感が気持ちいいトグルスイッチで統一。スイッチの形状一つで、何やら高度なマシンを操っているかのような気分 の高揚を感じることができます。このような「操作感」で走らせる前に気持ちを昂らせてくれるあたりに、模型の運転そのものに対するこだわりが感じられます。

■緻密な計算がなされた「虹」

 「ぐるぐるレインボーライン」は、その線路配置から塗装に至るまで、全てが狂いなく綺麗に仕上がっています。さまざまな曲線レー ルを組み合わせて、1周しながら複雑に入り組んだ配線となっており、これを立体的に組み上げることでぶつかりそうだけどぶつからないギリギリのラインで配置されているのです。

 線路下を覆う雲を取り去ると、入念 に書き込まれたレールの種類と透明アクリルポールの配置位置などが事細かに記されており、しっかりとした設計の上に成り立ってい ることがわかります。ちなみに、回転寿司桶レイアウトの通電は全て桶自体に組み込まれた配線からケーブル や銅板を通じて流れており、こちらも同様。2 ヶ所のポールからそれぞれプラスの電流とマイナスの電流が針金を通じて流れ、この針金 が線路裏に仕組まれた銅板へパンタグラフのように接触することで通電しています。この仕組みは目立たないようにしっかりとカムフラージュされており、なんとも不思議な光景を演出しています。

■インテリアとしてのレイアウト

 B作さんのレイアウトは、情景の完成だけに留まらず全体の「見た目」も重視して作られているため、部屋に置いておくだけでもカッコよく見えます。写真は「国鉄B讃線」レイアウトで、渋い木枠のレイアウトベースや金属の操作パネルもしっかりと作り込まれているのでインテリアとして見ても十分な仕上がりとなっています。やはりレイアウト・ジオラマは「完成後」が命。作ったは良いけれどそのまま押し入れの肥やし…では折角の作品がもったいないです。見栄えもしっかり意識して作っていきたいものです。


■今月のRM MODELSはホビールーム特集!

 いつかは大好きな趣味が思う存分楽しめる、自分だけのホビールームを手にしたい。この願望は鉄道模型に限らず、あらゆる趣味分野において共通の「夢」かもしれません。それでも、自分のライフスタイルや、今ある環境を変えることで、その夢を実現した方も少なくありません。「夢は願い続ければきっと叶う」とはよく言いますが、ただ待っているだけでは何も変わりません。自分自身でその一歩を踏み出すことが大切なのです。

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