collection：屋鋪 要
photo：羽田 洋
1959年生まれの私にとってのC62形蒸機は、東海道本線での最盛期の活躍こそ生で見ることは叶わなかったものの、後の山陽本線や常磐線、函館本線での姿は、幼き日の私に憧れを抱かせるには十分でした。
近年リニューアルされたKATO製のC62をはじめとしたNゲージ蒸機のプロポーションの的確さは、長く記憶の彼方に埋もれていた、1971年に父と向かった函館本線撮影旅行での光景を呼び起こしてくれました。そのことが、各地で活躍したC62の編成を揃えていくきっかけとなったのです。ここでは私が集めたC62コレクションをご覧いただきましょう。（屋鋪 要）
■つばめ
東京～大阪間を結んでいた特急「つばめ」の1954から東海道本線全線電化前の1956年までの姿を再現している。編成はスハニ35＋スハ44＋スハ44＋スハ44＋（二段目）スハ44＋スハ44＋スロ60＋スロ60＋マシ35＋スロ60＋スロ60＋スロ60＋マイテ39。
■安芸
呉線経由で東京～広島間を結んでいた急行「安芸」の1968～70年頃の姿を再現。糸崎〜広島間をC62が牽引。編成はオハネフ12＋オロネ10＋オロネ10＋スハネ16＋オシ17＋スハネ16＋スハネ16＋オハネ12＋オハネ12＋オハネフ12＋スハネ16＋オハネ12＋オハネフ12。
■みちのく
常磐線経由で上野～青森間を結んでいた急行「みちのく」の1965年頃を再現。機関車は一時期、仙台〜平（現・いわき）間の上りで見られたC62の重連としている。編成はスハフ42＋スハ43＋オロ61＋オロ61＋スシ48＋ナハ11＋ナハ11＋スハ43＋スハ43＋スハ43＋スハフ42＋オハ47＋オハフ45。
■ニセコ
通称「山線」経由で函館～札幌間を結んでいた急行「ニセコ」は、長万部～小樽間は補機が付いた重連での牽引であった。模型は1971年9月15日のC62最終運転列車で実施された3重連を再現したもの。編成はオユ10＋スユ13＋スハフ44＋スロ62＋スハ45＋スハ45＋スハ45＋スハ45＋スハフ44。
■あさかぜ
東京～博多間を結び、20系客車が最初に投入された特急「あさかぜ」。床下がグレーの初期の姿を再現した。C62は1964年の山陽本線全線電化まで牽引機として先頭に立った。編成はマニ20＋ナロネ20＋ナロネ21＋ナロネ21＋ナロネ21＋ナロ20＋ナシ20＋ナハネ20＋ナハネ20＋ナハネ20＋ナハネ20＋ナハネ20＋ナハ20＋ナハフ20。
■ゆうづる
常磐線経由で上野～青森間を結んでいた特急「ゆうづる」。C62の漆黒のボディに映える朱色のヘッドマークが人気であった。編成は左からカニ21＋ナロネ21＋ナロネ21＋ナハネ20＋ナハネ20＋ナシ20＋ナハネ20＋ナハネ20＋ナハネ20＋ナハネ20＋ナハネ20＋ナハネ20＋ナハネフ22。
■さくら
東京～長崎・佐世保間を結んでいたブルートレインとして知られる特急「さくら」だが、20系化されてしばらくの間は博多・長崎発着であった。模型ではその時代の、まだ座席車が連結されていて14連であった1960～63年頃を再現している。当時は山陽本線の電化区間が年々延伸される状況で、C62は1964年の山陽本線全線電化まで牽引機として活躍した。編成はカニ21＋ナロネ22＋ナロ20＋ナシ20＋ナハネ20＋ナハネ20＋ナハネ20＋ナハフ21＋ナハネ20＋ナハネ20＋ナハネ20＋ナハネ20＋ナハネ20＋ナハフ20。
■音戸
呉線経由で大阪～下関間を結んでいた急行「音戸」の1965～67年頃を再現。新旧入り混じった寝台車が楽しい。編成はマニ60＋マロネ41＋スハネ30＋スハネ30＋スハネ30＋スハネ30＋オハネ17＋ナハネフ10。
■かもめ
京都～博多間を結んでいた客車時代の特急「かもめ」、キハ82系に置き換えられる前の晩年の姿を再現。編成はオハニ36＋ナロ10＋ナロ10＋ナロ10＋オシ17＋ナハ11＋ナハ11＋ナハ11＋ナハ11＋ナハフ11。
■屋鋪さんコレクションの全貌はこちらで！
屋鋪 要の鉄道模型 縦横無尽
本誌ではNゲージによる屋鋪さんの思い出深い各地のジオラマを製作披露するほか、戦前の特急「燕」から、20系ブルートレインまでをNゲージで編成中の一部の工作をし編成を再現。
また、各地の鉄道模型レイアウトを求めて訪ね歩きレポート。そのほか1：80スケール（16番モデル）の戦前型ダブルルーフ客車のキットを使い、「燕」編成の製作では、手スリの一本から、扉の取っ手まで再現するなど、一か所一か所丁寧な製作を紹介。プラキット入門者に向けた格好の指南書ともなるでしょう。
