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特集・コラム

「駅」を訪ねて…旧駅跡を身近に感じる…「奥羽本線 大沢駅(その1)」

2022.07.03

取材日:’21.8.30
text & photo(特記以外):羽山 健(RM)
同行取材:遠藤イヅル 取材協力:JR東日本仙台支社山形支店

 隔月刊行時代のレイル・マガジンで連載した「シーナリー散歩」。WEB編は「『駅』を訪ねて…」に再構成してお届けしています。2021年11月号では、奥羽本線の板谷峠区間(福島~米沢間)を取り上げました。今回のWEB編では、前回の峠駅からさらに一駅山形方面に向かった大沢(おおさわ)駅をご紹介しましょう。板谷峠の連続スイッチバック4駅の中で最も山形寄りで、人里に近いエリアに位置しています。

レイル・マガジン2021年11月号(451号)書誌情報

駅入り口は旧駅そのものだった
 大沢駅も、板谷・峠両駅と同様無人駅。峠を越えてからだいぶ下りてきたあたりで、山深い…と言うよりは里山の中で、県道沿いにはちょっとした集落も構成されています。駅へはその県道から直角に曲がり、スノーシェッドで覆われた奥羽本線を陸橋で越えて突き当りのところになります。

▲駅入り口に設置されている案内看板。旧駅所在地が駅入り口そのものとなっていることが分かります。「スノーセェット」という表記も味わいがあります。

▲プレハブ風のこの建物が大沢駅の旧駅舎で、1980年代に建て替えられたもの。今も何らかの用途では使用されている模様。右手は現役の便所です。

▲すっかり錆びてしまっていますが、旧駅時代の駅名板。

 ここまで見てきた板谷駅・峠駅と違い、旧駅施設が現駅への通路として誰でも安全に入ることができるのが大沢駅の特徴。ホーム跡も、だいぶ草に覆われたりはしていますが、容易に確認できます。

▲足元が旧ホームであることがよく分かります。ホームは対向式の2面2線で、2線を跨ぐ架線柱が残されています。

▲保線車が留置されている線路は標準軌。この線路を踏切で越えた先、前方に現駅方向のスノーシェッドが見えています。

▲ホーム端部のスロープも確認できます。本来2線あった線路は、1線が前述の通り改軌の上で保線用として残され、1線は剥がされて自動車用通路になっています。

▲レンガ積みの給水塔土台が残されていますが、すっかり草に覆われて、近づくことができません。

▲バラスト置き場もそばにあり、ここまでダンプカーも入ってくるわけです。

▲一旦、現駅から離れる方向に移動し、あらためて引いた位置から現役方向を見たところ。舗装されている部分は、バラスト輸送用ダンプカーのための通路になります。

スイッチバックとは関係ないスノーシェッド?
 冒頭で、駅入り口は奥羽本線をオーバークロスする陸橋と記しましたが、この部分、奥羽本線はかなり長大なスノーシェッドに覆われています。しかしよく考えるとそこはもうスイッチバックのためのポイントなどとは無関係であり、なぜスノーシェッドがあるのか、少々ナゾでした。恐らくは、この区間が掘割状になっていることから、雪の吹き溜まりで埋もれてしまわないように…ということだろうと思います。

▲駅入り口の陸橋から、上り方向(福島方向)を見たところ。遥か前方に、駅部分スノーシェッドの端面が見えています。

▲反対側、下り方向(山形方向)を見たところ。確かにこのスノーシェッドがないと、積雪時にちょうど埋もれてしまいそうには見えます。

 肝心の、現駅の模様は、次回「その2」にてお届けいたします。

イラスト:遠藤イヅル

オマケ~新幹線が通る踏切
 新幹線車両が走っているとはいえ、この奥羽本線はれっきとした在来線。速度も485系時代とあまり変わらず、当然のように踏切も存在します。写真はローカル味満点の新蛇ノ口踏切(大沢~関根間)です。

▲自動車がすれ違えいないくらいの道幅で、周囲はひたすらのどかな農村風景。新幹線車両との違和感が味わえます。

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