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特集・コラム

「駅」を訪ねて…その名もシンプルに「峠」! 二股に分かれる大規模スノーシェッドが見もの「奥羽本線 峠駅」

2022.06.19

取材日:’21.8.30
text & photo(特記以外):羽山 健(RM)
同行取材:遠藤イヅル 取材協力:JR東日本仙台支社山形支店

 隔月刊行時代のレイル・マガジンで連載した「シーナリー散歩」。WEB編は「『駅』を訪ねて…」に再構成してお届けしています。2021年11月号では、奥羽本線の板谷峠区間(福島~米沢間)を取り上げました。今回のWEB編では、前回の板谷駅から一駅山形方面に向かった峠(とうげ)駅をご紹介しましょう。それにしても「峠駅」とはよく言ったもので、標高622mの奥羽本線最高、この駅がまさに板谷峠のサミットです(厳密なサミットは板谷~峠間にあり、この峠駅では山形方向へ向かって下り勾配になります)。

レイル・マガジン2021年11月号(451号)書誌情報

駅入り口はスノーシェッドの側面に
 峠駅も板谷駅と同様無人駅で、幹線道路から離れているという点では板谷峠3駅の中でも「秘境駅度」は最大。取材時はクルマで訪問したのですが、小さな集落から坂を下っていくと見事な規模の木造スノーシェッドが見えてきます。そしてその入り口はその側面に忽然と開けられた開口部に…。このスノーシェッド内部には現役の線路は敷かれておらず、歩行者用の通路兼保線車・資材置き場となっています。

▲こ、これが駅の入り口…?

▲幾多の風雪に耐えてきたのであろう、木造スノーシェッドの側面。

▲「峠の茶屋 江川」さんから見下ろしたスノーシェッド。屋根はトタン張り。

▲スノーシェッドの内部に、部分的に残された狭軌時代のポイント。

▲軌陸車の置き場としても使用されていました。

▲歴史のありそうな駅名板がさりげなく設置されていたり…。

▲旧駅に設置されていたのであろう観光看板も…。

▲左手の開口部が、写真1枚目の駅入り口。背後がホームになります。

構内踏切を通って駅ホームへ
 このスノーシェッドは、かつて本線から分岐して旧峠駅へ向かう経路だった部分。今の駅は本線上に位置していますが、この本線も元々スノーシェッドで覆われていたため、途中でシェッドが二股に分岐しています。

▲駅ホームから、山形方向を見遣ったところ。スノーシェッドが二股に分かれており、右側が本線、左側が入り口のあった通路(=旧駅方向)。

▲ホームは島式で、下り線を跨ぐ構内踏切が設置されています。

▲新幹線車両の通る構内踏切はシュールな眺め…。

▲踏切から、下り線の福島方向を見たところ。

▲下りの「つばさ」が通過中!

▲ホーム上に設置された小ぶりな待合室。

▲ホーム構造物は比較的簡易な構造で、島式と言えど間が空いていたりします。

▲上りホームから福島方を見ると、左前方に廃トンネルが見えます。旧駅に入るための引き上げ線が走っていた部分です。

さて旧駅跡はどうなった…?
 最初に通ってきたスノーシェッドの先に、旧駅があった…と記しましたが、ではその跡はどうなったのでしょう。

▲通路となっているスノーシェッドの端面。背後に旧駅があったはず。

▲少し引いて見たところ。スパンの長い架線柱が残っています。

▲かつての駅跡は立入禁止となっていました…衛星写真では、一部ホームやスノーシェッドが残されているようです。

▲イラスト:遠藤イヅル

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