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私鉄ローカル終点駅の魅力をギュッと!「紙製」キットで作る鉄道模型ターミナル

2022.06.15

text & modeling:瀧口宜慎(RMM)
photo:羽田 洋(製作写真以外)

 ドーム状の大きな屋根に覆われた頭端式のターミナル駅はなんとも趣があって魅力的です。地方私鉄の始発駅や終点駅で採用されるそれは、同じ頭端式でも大手私鉄の持つダイナミックな様子のそれとは異なり、瀟洒で奥ゆかしいまた別の魅力にあふれています。ここでは、甲府モデル製ペーパーキットを作りながら、組立のポイントやコツ、追加したいアイテムなどを紹介していきます。

↓詳しい製作手順はこちらから!↓

■駅舎(頭端駅)を作る

▲駅舎(頭端駅)のパーツ。右下は厚紙パーツで、床、平屋根、仕切り壁のパーツが中心。 それ以外の3枚のパーツは一般的な厚みのケント紙。

 今回、製作した甲府モデルの製品は 「品番:5-12/ 頭端駅」と、「品番:5-19/対向式頭端式ホームセット」、「品番: 5-21/対向式延長ホーム×2セット」の3アイテム。近年のペーパーキットメーカーでは主流となって いるレーザーカットによるもので、パー ツ同士の合いや、ほぞ穴への組付けなども仮組してみたところ良好です。ただ組立の際、接着時に切り出した後で 部品の表裏が分からなくなってしまう場合があるため、あらかじめ十分に確認をしておくと良いでしょう。

▲正面3面一体の内張りパーツを切り出す、このパーツがいわば向きの基準となるので、これを中心に貼り込んでいくのでも良い。

▲平屋根、建物本体、床部分が完成した状態。この後サーフェイサーを吹き→空研ぎ →塗装→組立の順序をたどる。

 昭和初期から戦後にかけて地方私鉄の本社も兼ねていたような、縦格子状のファサードを持つモダンな雰囲気の鉄筋コンクリート造の2階建て駅舎です。壁面は内張りから外張りまで4枚の紙を貼り合わせ、 平屋根と床板で箱状にして保持する構造です。

■対向式頭端ホームを作る

▲対向式頭端ホームセットのパーツ一式。 左の一列がホーム部分のパーツで、中央から右が屋根部分のパーツ。

 この製品の最もメインとなる部分。 左右のホームを跨ぐ大きな屋根とコの字型のホーム。このセットだけで小型電車クラスの始発駅を作るのにも良いかもしれません。

▲ホームのパーツから組み立てる。床面のパーツが基礎部となり、これに各側面を差し込んでいく。

▲こちらは屋根の側面部分の骨組パーツ(上)と外側の壁面パーツ。

▲屋根傾斜部分の骨組みパーツ(上)と屋根上面パーツ。

▲各面のパーツが組みあがった屋根廻り。

■完成!

▲完成した対向式頭端ホーム。延長部分を2本分使い、18m級4両の有効長を持たせた。レールは今回TOMIXのファイントラックを使用。

▲駅舎側から全景を見る。線路にダブルクロスポイントをこのように入れて遊ぶ場合、手前と終点側の上下線、計4ヶ所にフィーダーとギャップスイッチを設ける必要がある。

▲屋根廻りに筋彫りを入れた部分を見る。壁材の継目のようになり、壁面のアクセントとなった。

▲駅名看板を手書きで急ごしらえした。「富洲浦駅」 というのは勿論架空の名前だが、海が近い土地の私鉄の終着駅をイメージしたもの。

 さて、今回の作例では駅舎の壁面パーツの何ヶ所かを表裏逆に貼り付けてしまい、すぐに気が付いてパーツを剥がしたものの、 パーツ自体の破損と歪みは免れず、完成度を下げてしまうこととなってしまいました…。また、組立順序においても 「組立→サーフェイサー→塗装」ではなく「サーフェイサー→塗装→組立」という順序を取ったほうが、より一層綺麗に仕上がったかもしれません。そのような反省点はありながらも、全体的には甲府モデルのペーパーキット自体の完成度の高さもあり、ローカル私鉄のターミナルという印象を捉えた作例になったかと思います。

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