185系

特集・コラム

「駅」を訪ねて…「小さな旅」はここから始まる…「流鉄 馬橋駅」【シーナリー散歩】

2022.06.05

取材日:’21.12.28
text & photo(特記以外):羽山 健(RM)
同行取材:遠藤イヅル

 レイル・マガジンで連載した「シーナリー散歩」(誌面連載はレイル・マガジンの定期刊行終了により完結)。WEB編は新タイトルを『「駅」を訪ねて…』として展開致します。千葉県の流鉄を、終点の流山駅から順次取り上げていますが、今回はいよいよ終点(路線上は起点)の馬橋(まばし)駅を見ていきます。

レイル・マガジン2022年3月号(453号)新刊情報

 馬橋駅は常磐線の馬橋駅との接続駅。常磐線の駅としては現在は各駅停車しか停まらない少々地味な駅ですが、前後の北松戸駅・新松戸駅よりもずっと長い歴史を持つ、侮れない駅です。

▲夕刻、馬橋駅に到着する上り電車を待つ駅員さん。

 駅の構造としては、ほぼ南北に走る常磐線に対して、西側に流鉄のホームがあり、跨線橋でJRの橋上駅舎と接続されています。流鉄の駅舎に相当する部分は跨線橋を下りたホームと同じレベルに、詰所的な規模で存在しています。

▲常磐線ホームから見た、流鉄の馬橋駅ホームと跨線橋。間に通過線となる常磐快速線の線路があります。P:三ツ矢健太

▲車両故障のために、「なの花」と「あかぎ」の混結編成が入線してきました。P:三ツ矢健太

▲流鉄ホームから、跨線橋の階段を見上げたところ。「JR線のりかえ」の看板の下に、「まばし」の古風な駅銘板が付いています。

▲ホーム側から見た、馬橋駅の駅舎に相当する事務室。

 同駅ホームは島式の1面2線を持ち、通常はJR線側の1番線のみを使用しています。ホームはほぼ全長に渡って屋根が掛かっており、駅舎寄りが片流れ、先端寄りが山形屋根というように様式が途中で変わります。片流れの方が歴史が古いようですが、このホーム全体が実はさほど歴史が古いものではなく、常磐線の複々線化工事に伴い、1971年に移設されたものとなります。

▲手前が駅舎寄りの片流れ屋根、奥が山形屋根。いずれも木造の柱・梁を持つ古典的な様式ですが、意外にも(?)1970年代以降に作られたもの。

▲ホームの先端(=流山寄り)側から見通したところ。左手には常磐線各駅停車の東京メトロ16000系が停車中。

▲2番線のさらに外側はかつて貨物または保線車用側線がありましたが、既に線路は剥がされています。名物的な森製作所製DB1ディーゼル機関車がネグラにしていた短い車庫は今も物置として存置。

 まったくの余談となりますが、馬橋駅のすぐ横、流鉄の線路が突き当たったその先の位置に、その名も「鉄道用品株式会社」という気になる工場があることは、多くの方がご存じでしょう。かつては貨車の改造なども請け負っていたようですが、今はJR線との線路の接続も無くなってしまいました。

▲跨線橋から見下ろした、鉄道用品株式会社馬橋工場。かつては写真左手の位置に、看板代わりのワム80000形が置かれていました。’21.5.31

▲工場入り口に設置された表札。’21.5.31

◆ ◆ ◆

▲折り返しのため、反対側の運転台に移動する運転士さん。

▲古風な木造柱と「1」の番線表示。JR線ホームにも1・2番が振られており、両社で番号は重複しています。

 さて、これにて流鉄の全6駅をご紹介しました。派手な観光名所があるわけでなく、生活に密着しているのが流鉄の本質。車両も塗色こそバラエティありますが、同一系列のみで統一されていてそこまで珍しくはありません。でも探せば駅ごとに興味深いエピソードが埋もれている辺りはさすが歴史ある路線といったところ。都心からこれほど近くてお散歩気分を味わえる路線も珍しいと思います。ぜひ次の休日、貴方も訪ねてみてはいかがでしょうか。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加