text & photo:上石知足(RMM)
東海地方を走る唯一の路面電車であり、かつ国道1号線という大動脈も走る路面電車でもある豊橋鉄道市内線(東田本線)。特筆すべき点が数多いこの路線ですが、その路線の末端に近い「井原」という名前の停留所の前に人知れず「日本一」が鎮座しているのでした。今回はそんなスポットへ行ってみました。
■一見するとなんの変哲もない交差点だが…?
この日本一の急カーブがある場所は愛知県は豊橋市。豊橋鉄道の市内線(東田本線)の本線とは別に運動公園前停留場へ向かう支線が分岐するポイントで、乗降場が方面ごとに3箇所に分かれているのが特徴です。一見するとそれ以外は普通の交差点に見えますが…?
運動公園前停留場へ向かう支線への分岐のカーブをよく見ると、確かにかなり急です。これが路面電車(軌道法)で敷設された鉄道も含めた営業路線の中で一番の急カーブになるR11(曲線半径11m)のカーブです。
■車体からはみ出す台車
「本当に曲がれるの?」とさえ思ってしまうこの急カーブ、もちろんR11ともなると曲がる車両も一苦労。大きくフランジ音を鳴らしながらゆっくりと交差点を曲がっていきます。その際台車は車体から大きくはみ出してこのカーブを曲がっていきます。電車が曲がってしまうのは一瞬ですが、ここを曲がった先にある運動公園前へ向かう列車本数は意外にも多いです。また折り返し地点の運動公園前停留場も比較的近くにあり、行った後もすぐ戻ってくるため、何度でもこの迫力の「コーナリング」を眺めることができます。
■連接車は通れません。
▲2018年までこのカーブを通過不可能だったモ800形。R11通過対応のために以前は存在した台車カバーの撤去などの改造を各種施し、現在では通過可能となった。
ここまでの急カーブとなると、3車体を連ねた連接車であるT1000形「ほっトラム」はここを通れません。また、以前は同じく超低床電車であるモ800形も入線不可能でしたが、2018年にこのR11カーブを通過可能とするために、台車カバーの撤去や車高を上げるといった改造工事が施工されて通過可能になりました。そのため現在ではT1000形のみがこの区間への入線ができません。
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