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Nゲージへの夢をつなぐ意欲作! プラレールアドバンスを覚えているか?

2022.02.06

 鉄道キッズでプラレールを知らない子はほとんどいないだろう。イメージでは3、4歳で出会い、小学校に上がるころまで夢中になって遊ぶ、そんなおもちゃだ。
 だが、多くのおもちゃには「卒業」があり、プラレールも例外ではない。Nゲージに代表される鉄道模型に憧れる子もいれば、まったく違う分野に興味を持ち始める子もいる。タカラトミーが2011年に発売した「プラレールアドバンス」は、そんな“卒業組”に鉄道の楽しさを引き続き味わってほしいと企画されたおもちゃだった。

 写真を見ればお分かりのとおり、プラレールよりもディフォルメ具合は抑えられ、Nゲージに近い印象だ。事実、Nゲージのストラクチャー(建物)などと組み合わせると、かなり鉄道模型に近いジオラマを作ることも可能だった。

 一方で、ゼロから買い始めることへのハードルを考慮し、プラレールの“青いレール”を使うことができた。しかも、スリムな車体を活かして複線として使用するため、本物さながらのリアルなすれ違いを再現できた点も、リアル志向の子どもたちには好評だった。

【当時のリーフレットより】

 順調に車両のラインナップが拡大した2016年、さらなるリアルを追求し、アドバンスリンクシステム(ALS)が発表される。その機能を以て登場した3つの駅は、アドバンスらしさを最も象徴したアイテムと言えるだろう。

 車両が駅に自動停車し、次の車両が駅に近づくと、入れ替わりで発車する「連続発車ステーション」、複数の駅で交互に発車と停車を繰り返す「交互発車ステーション」、4路線の発着を自在にコントロールできる「全線発着!トレインラッシュターミナル」。

 プラレールでは自ら動力スイッチを切り替え、ポイントを操作しながら成り立たせていたスムーズな区間運行を、センサーによって自動化したシステムは、“ホンモノ”の知識を蓄え始めた子どもたちの欲求を満たしてくれた。

 だが、「これからますます拡大だ!」と感じていた矢先、タカラトミーは突如アドバンスの販売終了を発表する。

 リアルになればなるほどナーバスな部分も顔を出し、一部で「脱線しやすい」との声もあったアドバンスだが、これで鉄道の奥深さを実感した子も多かったはずだ。

 1970年代、当時のトミーは「プラレールを卒業したら」というキャッチコピーでスーパーレールという、プラレールアドバンスの前進にあたる商品を発売したことがある。

 いつの日か、今度はアドバンスの経験を活かした新しい商品が、“プラレール卒業組”に届けられることを楽しみに待ちたい。

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