185系

特集・コラム

Zゲージ…Nゲージ…16番…HO?鉄道模型の縮尺の種類を知る!

2023.10.16

photo:羽田 洋・浅水浩二・根本貫史・RMM

▲手前からZゲージ(1:220/6.5mm)、Nゲージ(1:150/9mm)、16番(1:80/16.5mm)

 レイル・ファンなら一度は憧れる鉄道模型。日本国内ではNゲージと言われる規格が広く普及しており、毎月続々と新製品が発表されていますが、実は一口に鉄道模型といえどもいろいろな縮尺・ゲージ(線路幅)があります。

■Zゲージ(SCALE 1:220/GAUGE 6.5mm)

(ロクハン製品)

 鉄道模型を楽しむ上で避けては通れないスペースの問題ですが、この点小さい模型であるほど好都合となります。そこで登場したのが「もうこれ以上小さい鉄道模型は実現しないだろう」という意味から、アルファベットの最後の文字を付けた「Zゲージ」です。
 スケールは1:220で、ゲージは6.5mm。複数のメーカーから共通した規格として展開されている鉄道模型の中では現在これが最小です。

■Nゲージ(SCALE 1:150 ※新幹線は1:160/GAUGE 9mm)

 先述の通り、日本で最も普及しているのがこのNゲージです。元々は欧米で1435mm軌間の車両を1:160スケール/9mmゲージで模型化したもので、「9(Nine)」の頭文字を取って「Nゲージ」と呼ばれます。
 日本ではKATOが1960年代に初めてNゲージ製品を発売。しばらくは同社のみでしたが、その後さまざまなメーカーが参入し、今ではご存知の通り日本で代表的な鉄道模型の規格となりました。欧米とは異なる1067mm軌間の在来線車両を9mmゲージで走らせるにあたり、車体の縮尺は1:150という日本独自のスケールを採用しているのも重要なポイントの一つ。ただし新幹線は欧米同様の1435mm軌間なので、スケールも1:160となります。また、日本で広く普及しているため、車両や線路、情景、パーツなどの製品バリエーションが豊富なのもNゲージの特徴です。

■TT9(SCALE 1:120/GAUGE 9mm)

 1872年に日本で初めての鉄道が開業した際、軌間は1067mmとなり、以降この軌間が日本におけるスタンダードとなりました。ですが、日本独自としたNゲージの1:150スケール/9mmゲージは、実物に対して軌間が広めです。これを正しい関係性で表現したいという発想から生まれたのがこのTT9です。
 「TT9」とは、ヨーロッパで軌間1435mmの車両を1:120スケール/12mmゲージで再現した鉄道模型を、「TT」と呼んでおり、これは「テーブルトップ」の略で、その名の通り「テーブルの上でも運転できる」ということに由来しています。これにゲージの「9」を合わせて「TT9」としました。

■HOj(SCALE 1:87/GAUGE 12mm)

 「HO」とは、もともと欧米にて1435mm軌間の車両を1:87スケール/16.5mmゲージとしたものです。これはOゲージのほぼ半分という意味から「Half」の頭文字を付けてこの名称となりました。
 この1:87スケールで日本の1067mm軌間を再現しようと、ゲージ12mmの模型が生まれました。呼び方はアメリカ流の「HOn3 1/2」、Japanの「J」を小文字にして付けた「HOj」、1067をつけた「HO1067」、単純に線路ゲージを指して「12ミリ」など、さまざまな呼び方があります。

■ 16番(SCALE 1:80/GAUGE 16.5mm)

(TOMIX製品)

 現在、Nゲージに次いで盛んなのがこの1:80スケール/16.5mmゲージの「16番」です。このサイズに至った背景として、アメリカでは1:87/16.5mmのHO、実物が小さめのイギリスでは1:76/16.5mmのOOが普及していたことから、これらと並べてあまり違和感がない大きさとして1:80スケールとなりました。
 名前は当時の月刊『鉄道模型趣味』誌が提唱し、同じ16.5mmゲージを持つアメリカ・イギリス・日本の各規格の総称として「16番」と名付けられました。また、日本では1:80/16.5mmを一般的に「HO」あるいは「HOゲージ」と呼ぶことも多いです。

■Oゲージ(SCALE 1:43・1:45/GAUGE 32mm)/OJゲージ(SCALE 1:45/GAUGE 24mm)

 16番が普及する以前、日本でポピュラーだったのがこのOゲージと呼ばれる鉄道模型です。日本では1:45を基準に、蒸気機関車は1:43とするのが通例でした。このクラスの製品で今も比較的製品が多いのは、Oゲージの1:45スケールに対して、ゲージを24mmとして在来線の1067mmを再現した「OJゲージ」です。

■1番ゲージ(SCALE 1:30〜32/GAUGE 45mm)/Gゲージ(SCALE 1:22.5ほか/GAUGE 45mm)

▲Gゲージの庭園鉄道。ちなみに近年発売され話題の「コンテナ弁当」のスケールはこのGゲージ近似である。

 1番ゲージとは、スケール1:30前後でゲージを45mmとした鉄道模型です。20世紀初頭に「××ゲージ」という呼び名を最初に制定した時、最も小さいものを「1番」としたのが由来です。
 また、小型車両を中心にスケールを1:20前後として、45mmゲージの線路を走らせる模型に「Gゲージ」と言われるものがあります。これは自宅の庭などで運転することを考慮したモデルで、「G」の名称も「ガーデン(庭)」に由来しています。

 馴染み深いものからあまり聞くことがないものまで、鉄道模型の世界にはさまざまな種類の規格・スケール・ゲージがあるのです。

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