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■すべての始まりは149年前
「○月の鉄道のデキゴト」は、当月にあった過去の鉄道の「デキゴト」(路線の開通や車両の新製・廃車、そのほかの事件など)を振り返るコーナーです! ティーブレイクにでも気軽にお楽しみください。
▲かつての新橋停車場の駅舎を復元した、現代の「旧新橋停車場」。
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▲鉄道記念物の新橋駅0哩標識。まさにここが日本の鉄道の「はじめの一歩」であったことを物語る。
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本日は「鉄道の日」です! 今から遡ること149年前、1872(明治5)年10月14日(ただし当時は旧暦を用いており、それで言うと9月12日)に日本最初の鉄道となった官設鉄道の新橋~横浜間23.8kmが開業したことを記念しています。
▲旧新橋停車場裏面の、復元ホーム。手前左右にあるガラスで囲まれた部分の地下に、かつてのホームの石積みが保存されている。
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本記事では、現代に残るその開業時の様子をかいつまんでいきましょう。
●旧新橋停車場
当時の新橋駅は今の同駅から東へ200mほど離れた場所で、今のような通過式の構造ではなく頭端駅でした(構造上、反対側への延伸を考慮していなかった)。開業から42年後の1914(大正3)年に東京駅が開業し、同時に新橋駅は貨物用の汐留駅に改称および用途変更がなされます。今の新橋駅は、この時に旧烏森駅を改称したものです。そして汐留の貨物駅は国鉄時代最末期となる1986(昭和61)年に役目を終えて廃止されたのでした。
▲鉄道歴史展示室には、発掘された遺物や駅舎基礎石積みなどが展示されている(許可を得て撮影)。
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▲一段低いところでガラスで保護されている、旧ホームの石積み。
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その後大規模な再開発が行われ、その過程で旧新橋駅の遺構が多数発掘されました。その遺構類の保存・展示を兼ねて、「旧新橋停車場」という復元建造物(駅舎とホーム)が建てられ、往時を偲ばせています。館内の鉄道歴史展示室には発掘された遺物も展示されており必見です。
●高輪築堤
▲再開発によって露出した高輪築堤。写真は水路が通っていたところ。
’21.1.8 P:月刊とれいん(代表取材)(特集記事より)
▲後日また発掘されたエリアでは、元の信号機の台座であった出っ張りが見つかった。
‘21.4.10 P:羽山 健
田町~品川駅間は、用地を内陸部に確保できなかったことなどから、海上に築堤を構築して敷設されました。その後次第に海が埋め立てられて築堤は地中に姿を消し、この場所には山手線・京浜東北線が走るようになり、元は海上だったところには大規模な車両基地(田町電車区、品川客車区、東京機関区など)が構築されたのです。近年の再開発で再び姿を現した築堤、錦絵に描かれた通りの石積みや水路の様子が窺えて大変な話題を呼んだのも記憶に新しいところ。JR東日本では部分的ではありますが保存施設を設立すると表明しています。
●旧横浜停車場
開業時の横浜駅は、今の根岸線桜木町駅の場所にありました。その後東海道本線が整備された際、この横浜駅ではスイッチバックする線路配線となり輸送上のネックとなったため、1915(大正4)年に二代目横浜駅が新設されてスイッチバックを解消。初代横浜駅はこの時に桜木町駅に改称されました。ちなみに二代目横浜駅は比較的短命で、1928(昭和3)年に今の場所に三代目横浜駅が誕生し、二代目だった場所は今はマンションなどになっています。
▲桜木町駅駅ビルの恵まれた環境で保存されるようになった110号。
‘20.6.27 P:渡辺俊博(鉄道投稿情報局より)
▲客車は保存車ではなく展示のための形だけの復元車だが、列車状態での展示は見ごたえがある。
‘20.6.30 P:ふくしまさぎす
さてこの桜木町駅隣接のJR桜木町ビルの1Fには、2020年から鉄道歴史展示コーナーが設けられ、開業時に走った10両の蒸気機関車のうちの1両である110号機が展示されています。この機関車は長年青梅鉄道公園で展示されていたもの。さらに開業時のものを新製復元した客車も連結した状態で展示されていて、一見の価値があると言えるでしょう。
▲かつて無数の列車が到着・出発を繰り返した旧新橋停車場のホームに思いを馳せる…。
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来年2022年は鉄道開業150周年となります。かつて鉄道50周年の時に鉄道博物館(後の交通博物館、今の大宮の鉄道博物館の源流)が開設(厳密には49周年の年に開業しているが、名目は50周年記念だった)、100周年の時には梅小路蒸気機関車館(今の京都鉄道博物館の源流のひとつ)が開設されるなど、節目の年にはファンとしても嬉しい様々なデキゴトがありました。さて150周年の来年、どんなことが起こるやら…楽しみにしたいと思います。