185系

特集・コラム

大好きな保存車のそばでキャンプ! 碓氷峠鉄道文化むらキャンプイベントレポート!

2021.10.24

text & photo:RM
取材日:2021年10月2日~3日
取材協力:一般財団法人碓氷峠交流記念財団、碓氷峠鉄道文化むら

 鉄道の保存車がある博物館や公園は全国に数あれど、大好きな車両と一晩ずっと一緒に居たい…目が覚めたらそこに大好きな車両が優しく佇んでいてほしい…などと考えたことはありませんか? 普通は防犯の意味、あるいは設備が整わない…といった理由で夜間に一般のファンが入場できる施設はあまり無いのが実情でしょう。しかし世のキャンプブームもあり、群馬県・横川の碓氷峠鉄道文化むらでは、それを実現する「オートキャンプイベント」が不定期で開催されているのです。

▲まだ十分日が残っている時間にテントを張り終えることができた。広々とした芝生広場は実にキャンプ向き。

 この碓氷峠鉄道文化むら、廃線となった信越本線・横川~軽井沢間の碓氷峠を記念して横川駅すぐそばの横川機関区跡地に誕生。多数の貴重な国鉄時代の車両が静態(一部は動態)で保存されています。今回キャンプ会場として提供されるのは一番奥側にある屋外展示場・ビュウ広場。芝生張りの広場に、柵などがない状態で名車たちが並んでいるあの場所です。

▲右手の車列が参加者たちのマイカー。テントまで非常に近く、機材の持ち運びも苦にならない。

▲家族揃ってのテント張り作業も、てこずるほど良い思い出になりそう。

▲早めに張り終えたグループはおやつ&談笑タイム。テーブルクロスとテントとバックのEF80のカラーが同じ!

 「オートキャンプ」というくらいなので、参加者はここまでマイカーで乗り入れます。閉館30分前の16:30から入場でき、短時間一般入場者と混流しますが職員の方の適切な誘導によって混乱はナシ。舗装された場内通路に一列に駐車後、参加者は思い思いの場所にテントを組み立てていきます(テントはレンタルもあり)。参加者人数に対して場所には余裕があり、隣のテントとの間隔もかなり広いと感じました。

 

▲夜汽車の雰囲気のトロッコ列車。これから「峠の湯」までみんなでお風呂をいただきに行く。

▲走っている線路は元の信越本線の下り線そのもの。当然ながらかなりの上り勾配を進む。

▲「峠の湯」建物外観。シャワーがあれば上等、という一般のキャンプ場に比べてなんと贅沢なことか…。

 テントの組立が完了した頃を見計らって、18:00にみんなでトロッコ列車の「ぶんかむら駅」へ移動。これからかつての信越本線の線路を走って、温泉施設「峠の湯」でお風呂をいただきます! 普段トロッコ列車は日中しか走らないので、夜汽車の雰囲気が味わえるのも最高です。

▲日没後の保存車たちが幻想的な雰囲気を醸し出している。

▲やっぱりキャンプと言えばお肉でしょう…!

▲〆は焼きそば…! これ最強。

 お風呂からまたトロッコ列車で帰ってきたら、グループごとに夕食の準備です。直火はさすがに禁止ですが、バーベキューコンロなどを持参しての大焼肉大会の始まり! そこここからジュージューと美味しそうな匂いと音が…。

▲かつて「ゆうづる」や「十和田」の先頭に立った姿を彷彿とさせる、EF80の夜姿。

▲D51はヘッドライト点灯だけでなくライトアップも当てられていた。

▲EF63の後ろのナハフ11の室内灯まで点灯。左手見切れているのはEF53。

 そして気づくと一部の展示車両のヘッドライトや室内灯が点灯し、夜のムードを最高に醸し出してくれています。語り合ったり静かに車両を眺めたり、子供たちも興奮状態で楽しさがこちらまで伝わってきました。夜が更けるにつれ冷え込んでも来ますが、コンロの余熱がまた心地よかったりするのです。

▲朝の身が引き締まるような冷気の中、「ざんげ岩」(写真で山頂部左手)を擁する龍駒山が赤く輝いていた。

▲昼間の姿とはちょっと異なる保存車の表情を見ることができる。

▲静かな静かな夜明け。

 気持ちよく眠りに落ち、気づくと夜明け…施設の横にそびえる「龍駒山」…頂上に「ざんげ岩」があることで知られるあの山が、朝日に照らされて淡く赤みを帯びて輝いていたのに目を見張りました…! たぶんこの角度で光が当たってさらに赤みを帯びて輝くのは朝の時間帯だけではないでしょうか。まさに参加者だけが見ることができる眼福であると感じました。

▲朝しか見られない光線状態を探して歩くのも一興。

▲場内一番奥のEF63、189系の顔にもいい角度で日が当たってくれた。

▲愛車、ロータス・エリーゼとEF63を並べて記念写真を撮る参加者。どっちも光り輝いていますね!

 保存車たちも、普段の光線とは違った表情を見せてくれ、EF63 1などは特にバッチリの順光で影も入らない、理想的な光線の中で凛々しく屹立…そこですかさずクルマ好きの参加者の方が愛車をその前に乗り入れて記念写真(もちろん許可されていることです)。めいめいに朝食を摂りテントを撤収したら、8:30までに退出することになっています。

▲朝食はカップラーメンやおにぎり、というグループが多かったようだ。

 朝食の場で参加者全員にインタビューさせていただきましたが、満足度は100%! とにかく普段入れない場所でのキャンプであることに加えて、お風呂やその他のサプライズサービスで笑顔の絶えないイベントでした。

 このイベントは11月にも2回開催予定ですが既に予約満了(今回の取材時よりも夜は寒いはずですので、念入りな防寒を…!)。次のキャンプシーズンとなる来年春以降も開催を前向きに検討しているそうなので、公式WEBサイトをマメにチェックしてくださいね。

▲筆者の朝食風景…(お目汚しで恐縮)。前日買い込んでおいた峠の釜めしを朝から美味しくいただきました。

【参加者の傾向について】
今回は10組の参加者があり、ご家族連れ、友人や親戚の方と一緒…といったグループでしたが、参加の動機は「鉄道とキャンプとどちらも大好きだから」「子供がこの施設が大好きで何度も来ているから」「キャンプ好きで、面白そうな場所だと思ったから!」などという声が聞かれました。全体的には「もちろん鉄道が好きだから」という方が多かったのは…当たり前かもしれませんね。

🔶碓氷峠鉄道文化むらWEBサイト

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