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「オオカミが電車を運転するだけのマンガ」作者インタビュー!【その2】忠実な鉄道描写と柔らかなタッチの漫画に迫る!

2021.06.20

 

 先日、Twitterに投稿され話題となった漫画「オオカミが電車を運転するだけのマンガ」。柔らかな可愛らしいタッチながら、マニアのみならず本物の鉄道マンすら唸るリアルな鉄道運転描写が注目されました。
 今回は作者のらつた(@ratsuta)さんのインタビュー記事の2回目。詳細な路線設定や、世界観を作る上で重視したこと、さらには今後の展開についてお聞きしました!

🔶第1回目のインタビュー記事はこちらから!
「オオカミが電車を運転するだけのマンガ」作者インタビュー!【その1】忠実な鉄道描写と柔らかなタッチの漫画に迫る!

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オオカミが電車を運転!?話題の柔らかなタッチで描く話題の本格鉄道運転漫画!

▲作中、主人公 大神が運転する「巻尾線(まきおせん)」の他にも「毛鉄」の本線級の路線として扱われる「毛央線(もうおうせん)」などが会話の中で登場する。

編集部:様々な路線名が出てきますが、今回主人公の大神(おおかみ)くんが運転した路線はどんな路線ですか?

らつたさん:舞台は「毛央鉄道(もうおうてつどう 以下、毛鉄)」という関東にある架空の大手民鉄です。県庁所在地の毛央市(もうおうし)は人口規模がさいたま市より大きく、横浜市より小さい政令指定都市としており、行政の中心の「狗場(くば)」という地域から毛鉄の幹線である「毛央線(もうおうせん)」が走っており、商業の中心の「伏町(ふせまち)」から第2の幹線である「巻尾線(まきおせん)」が郊外に向けて走っています。
 主人公の大神くんは「巻尾線」関係線区の乗務を担当しています。巻尾線は伏町から郊外都市の巻尾市(まきおし)を結ぶ通称「巻尾北線(以下、北線)」と伏町と大きな神社のある都市、狛縫市(こまぬいし)を結ぶ通称「巻尾南線(以下、南線)」に運行形態が分かれており、北線は「牙ヶ谷(きばがや)」で毛央線に、南線は終点の「狛縫神宮(こまぬいじんぐう)」でサッカースタジアムのある「卯月園(うげつえん)」方面に行く神宮線に接続しています。大神くんは北線の「新牙ヶ谷(しんきばがや)」横にある新牙ヶ谷乗務管区所属の運転士という設定です。


編集部:水彩のようなやさしいタッチが特徴的ですが、絵はデジタルで描いているのでしょうか?

らつた:デジタルで描いています。最近は水彩の描画ソフトが充実しているので、もともと紙とペンでしか絵を描いていなかった私でもデジタルで水彩のような表現ができるようになって助かっています。

▲全体を通して柔らかな水彩画風のタッチで描かれている。

編集部:子供にも親しみやすい作風と思いますが、そうするにあたり何か気を付けたことはありますか?

らつた:ぱっと見て「あ、電車が出ているけれど難しそう…」という印象をなるべく与えないように気を付けました。もともとはコントラストが強い絵を描いていましたが、今回はなるべく淡くて柔らかい線や色使い、絵本に近い印象を与えられるように注意しました。


編集部:「運転士」以外にも描いてみたい鉄道関係の仕事はありますか?

らつた:いっぱいあります。漫画の制作にあたり、2016~2017年くらいから資料を集めたり、見学会に参加したりしました。保線基地で総合計測車に乗せていただいたり、変電所で夜間作業の内容をうかがったり、信号扱い所で連動盤の操作を拝見したりして本当に興味深い業務ばかりで、いつか漫画にしたいと思っています。ただ、どれもリアリティがある話を作れるほど取材できていないので、いつか機会があったら取材させていただきたいです。

▲今回主人公 大神が運転をした毛鉄1500系。1980年代のデビューを想定し、その時代らしい要素を多く取り入れている。

▲毛鉄1500系の諸元表。主電動機から制御装置、台車や保安装置に至るまで細かく設定されており、マニア心もくすぐられる。

編集部:車両のデザインにも「ありそう」な雰囲気を感じられますが、こだわったポイントは?

らつた:これだけ電車運転士の話を描いていながらお恥ずかしい話ですが、現実の車両や鉄道に関する知識があまりなく、実際の車両が作られた経緯や年代を考えてその頃の流行を知ることから始めました。漫画に出てきた毛鉄1500系は1980年代、私鉄で界磁チョッパ制御車が全盛期の時代に誕生した設定としました。そのため前照灯と尾灯は角形の箱に入っていて、顔は同世代の京急1500形や京王7000系に似せています。側面は東急8500系のようなコルゲートの車両にしようと思っていたのですが、作画の手間を考え、同スペックの西武2000系を参考にして1980年代中期の登場をイメージできるデザイン作りに務めました。運転台は同じく西武2000系を彷彿とさせるデザインですが、実は時代が違う南海8300系がモデルです。時代を考えつつも、自分の好きなデザインとオリジナルを取り入れることにこだわり、それなりに満足がいくデザインにすることができました。


編集部:今後続編などを描くとしたらどういうものにしたいですか?

らつた:順不同で大神運転士の乗務風景を描き、最終的には出勤から退勤までの1日を通しで読めるようにしていきたいと考えています。Twitterでは「本にして欲しい」というありがたいお言葉もいただいたので、何らかの形で実現できればいいなと思っています。

 

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