text & photo:高橋 隆
土台選びから始まり、基礎と地形の作り方を前回までお送りしました。今回は下地・地面の製作についてご紹介しようと思います。「どうせ隠れるから…」と侮るなかれ、下地や地面の出来栄えは最終的な作品の出来栄えにも影響するものです。ぜひ自分がやりたい情景の地面を考えてみましょう。
🔶前回の記事
ゴールデンウイーク鉄道模型ジオラマ入門!地形を作るコツ!
■下地色を塗る
土台から基礎~地形と作ってゆき、固定が完了して接着剤が乾いたら、レイアウトに下地となる色を塗って、部材の地色を隠します。使用する色は基本的には茶色系が多いようですが、スーパーで手に入るような図面工作向けの水彩絵の具ではなく、より隠蔽力の高い美術用の顔料系地塗り剤が推奨です。
ギャラリーにておススメの塗料をご紹介します!
- 下地塗料① カラージェッソ ローアンバー:ジェッソとは画材の一種。写真のホルベイン製のは滑らかで伸びが良く、乾燥時間も早いため効率よく下地処理が行なえます。水性ですので水洗いも可能です。
- 下地塗料② アクリル絵の具 バーントアンバー:画材店で購入可能。本来アクリル絵の具は仕上げ用ですが、地塗り剤としても使えなくはありません。比較的安価な上、入手しやすいのが魅力。こちらも水性なので水洗いが可能です。
- 下地塗料③ ポポンデッタ 下地用塗料 バーントアンバー:鉄道模型ショップ/メーカー「ポポンデッタ」のレイアウト製作会社・ポポプロが発売している専用塗料。下地に特化した専用品なのでこれさえ買えば間違いはありません。水性です。
- ポポプロの塗料シリーズには下地用のバーントアンバー(中央)とグレー、目止め用液状パテ(左)、道路専用(右)といった、用途に応じたバリエーションがある。
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■地塗り剤を塗る
- スチレンペーパー製のテストピースに地塗り剤を塗ってみましょう。まず塗料をパレットなどの器に少量移し、普通の絵筆で取ります。
- 力を入れず絵筆をサッサッと動かして塗布します。白い地色が見えなくなりさえすれば、塗り方はアバウトで構いません。
- 塗布後乾燥させたテストピースで、カラージェッソを2度塗りしたもの。
- こちらはアクリル絵の具。隠蔽力がやや弱く、3度塗りした結果少々厚ぼったくなってしまいました。
- ポポプロの下地用塗料。ジェッソと同様2度塗りで十分な効果が得られました。
- 地塗り剤はスタイロフォームにも直接塗ることができます。
- スタイロフォームに各種下地塗料を塗布した状態。左からカラージェッソ、アクリル絵の具、ポポプロの下地用塗料です。アクリル絵の具が最も乾燥時間を要しました。
■舗装道路を作る
地形とほぼ同時進行で作っておきたいのが舗装道路の表現です。ジオラマの舗装道路は実物のようなアスファルトで固めるのではなく、薄手のプラ板やスチレンペーパーを切り出して地形に貼り付けます。ここではスチレンペーパーを用いた道路の作り方をご紹介します。
- 5mmのスチレンペーパーを地面に見立て、中央に道路となる1mmのスチレンペーパーを接着します。
- 車道部分は地面の素材をそのまま使い、両側に歩道を置く方法も考えられます。
- 実物の車道と歩道の段差を計測してみました。
- 概ね10~15cmで、Nゲージなら1mmのスチレンペーパーが好適と言えます。
- 塗料にはジェッソのグレーと、
- ポポプロの道路専用塗料、アクリル絵の具を試してみます。
- ジェッソのグレーを塗布したテストピース。
- ポポプロの道路専用塗料。実物のアスファルトのようなザラザラとした質感が得られます。
- アクリル絵の具。少し光沢がありますが、問題ないレベルです。
- アスファルトの表現には400~600番くらいの耐水ペーパーも使えます。
- 耐水ペーパーをカットする際は、表面ではなく裏面からカッターナイフを当てるとキレイに切れます。
- 両面テープで耐水ペーパーを貼り付けた様子。道路らしさが良く出ています。
- ですが、そんな耐水ペーパーにも弱点があります。一つは継ぎ目を消すのが難しいこと。
- もう一つは傷が入りやすいことです。
- このギャラリーの2枚目で作った道路にジェッソのグレーを塗ってみました。
- 道路の白線は細いラインテープを貼り付けて表現します。
- さてここで歩道の段差に続いて実物の白線も少し見てみましょう。
- 計測した道路の側線とセンターラインは15cm。Nゲージなら1mmのテープがぴったりです。
- 横断歩道の白線は45cmありました。Nゲージの場合3mmがちょうどいいという所。
- 横断歩道の白線と白線の間も45cmでした。
- 道路に白線テープを貼り付けた様子。何も貼っていない状態と見比べてみてください。たかが白い線と侮るなかれ、適当に貼るだけでも、あるとないとでは雰囲気が格段に違います。
さて、今回は下地と道路の作り方をご紹介しました。次回はいよいよ線路の敷設を行います! 市販品の道床レールに一味加えるだけで実景のような雰囲気となります。お楽しみに。