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特集・コラム

休日鉄道模型ジオラマ入門!ジオラマの「配置」を考えよう!

2021.04.30

text & photo & illustration:高橋 隆

 さて、レイアウトやジオラマを作る上でレールや建物を配置したり、地形を考えるのは極めて重要なポイントと言えます。ですが、ノープランではジオラマ製作は先へ進めません。自分が混乱しないためにも、まずどこに何を置くか、どういう地形にするかを決めておく必要があります。今回はどのように配置するのが効果的に見えるかも含めてご紹介します。

🔶前回の記事
ゴールデンウイーク鉄道模型ジオラマ入門!ジオラマの基礎を作る!

■レールの規格を選ぶ

▲左からKATO製ユニトラック、TOMIX製ファイントラック、英PECO製フレキシブルレール。左2点枕木の下にある台座のようなものが道床。

 レイアウトやジオラマの土台に線路を置く工程はもう少し先ではあります。とは言え、どの規格の線路を敷くかは比較的早い段階から決めておくのが吉です。
 日本国内のNゲージの場合、「道床付きレール」が比較的簡単に入手でき、これらは鉄道模型メーカーのKATOとTOMIXから発売されています。両社製レール共に互換性は基本的にありません。普段フロアレイアウトを組んで楽しまれている場合は、それらと同じ規格のものを情景模型に取り入れるのが良いでしょう。
 また、道床の付いていない「フレキシブルレール」というのも海外・国内メーカーから発売されています。レールはメーカーや道床の有無に関わらず、どれもレイアウト製作の部材として使用可能です。

■レールと建物の配置を考える

 実際の着工に移る前に、線路や建物などを置いてみて、全体的なバランスを確認しておくと製作中に戸惑わなくて済みます。

 上記の写真2点をご覧ください。モジュールなどの規格が決められたレイアウトは除きますが、上段写真のように、基礎の四辺に対して線路や建物をすべて真っ直ぐに置くと、情景が単調になりがちです。水平垂直は工作をする上では重要であるものの、情景のデザインを決める段階においてはキッパリと忘れてしまいましょう。ジオラマやセクションレイアウトでは、下段写真の要領で、四辺に対して角度を付けた状態にすると、見栄えのする情景を作ることが出来ます。

 この「水平垂直を避ける」手法は、1925年に発行された盆景(ジオラマの元祖的存在)づくりに関する当時の指南書でも紹介されているほどで、古くから提唱されている、ごくベーシックな技でもあるのです。

■地形を考える

▲一級水系・江の川沿いに隣接するJR三江線石見川本駅(島根県)。この場所をモチーフにジオラマ的な地形を考えてみる。

 一見平坦に見える地形でも、実際には少なからず高低差があるものです。説得力を持ったレイアウト・ジオラマに仕上げるためにも、ぜひとも地形に変化を付けてみましょう。

 レイアウトで線路を土台の板に直接貼り付けないと前回の「ジオラマの基礎を作る!」の回でしましたが、最大の理由はここにあります。線路を基礎に直貼りすると線路面よりも低い地形が製作できなくなってしまうためです。裏を返せば、あらかじめ線路だけでも嵩上げしておけば、線路よりも下の風景も作れる、というわけです。

🔶併せて読みたい!
ゴールデンウイーク鉄道模型ジオラマ入門!ジオラマの基礎を作る!

 地形を作るには、スタイロフォームや、スチレンペーパーを使用し、これらを重ね合わせて高さを確保したり、逆にカッターナイフで切削して低い箇所を表現したりします。

●イラストで表すと

▲石見川本駅風ジオラマを断面から見たイメージイラスト。基礎部分はそのままで、山や土手、線路などを同じ高さに並べた状態。高低差がないため些か単調で、取って付けたような山や土手がわざとらしい印象を与えてしまっている。

▲基礎の一部を掘り下げて、線路よりも低いレベル(最下層)に川を設定し、川向こうの山を廃して“のり面”だけの表現とした例。全体像が前者よりもずっと自然で立体的に見えるようになった。

●平野にも変化を

▲フラットな実景をモデルにジオラマを製作する場合、特に基礎部分の加工は必要ないと思われるが…

▲車道を下げ、地表の一部をやや嵩上げし、線路を一段高くしてみた。これだけの処理でも単調さが抜け、立体感の向上につながる。平野部を再現する際も、若干の凹凸を持たせるのは有効だ。

●理想の位置関係

 鉄道模型レイアウトの定番的な地形として、トンネルと山、川の表現は欠かせません。上写真はその要素をすべて盛り込んだセクションレイアウトで、写真左側が山、中央付近がトンネル、右側が川となっています。
 このレイアウトでは右側が手前で、写真からも分かるように奥へ向かうにつれて背が高くなっていきます。こういった、手前から見上げるような風景の配置は立体的で見ごたえのある作品にするテクニックの一つと言えます。

 さて、今回はレイアウトや地形の造成をする際に押さえておきたいコツをご紹介しました。次回は地形を作る際の実践的な技法を中心にご紹介しようと思います。お楽しみに。

🔶続いての記事
ゴールデンウイーク鉄道模型ジオラマ入門!地形を作るコツ!

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