text & photo:瀧口宜慎

「乗り入れ」「直通運転」は鉄道シーンの中でも魅力的なポイントのひとつ。模型でそれを再現するという方も多いのではないでしょうか?
そこで今回はお座敷運転で楽しめる相互直通運転風のレイアウトプランと遊び方をご紹介します。大きさの規模的には自宅では難しいかもしれませんが、運転会などのレイアウトネタに是非!
■「5直」をモデルに直通運転をお座敷で楽しもう!

▲相互直通運転を楽しむことができるお座敷エンドレスレイアウト。奥から東急東横線、西武池袋線、東武東上線の順。東急線はKATOのユニトラックの複線。西武線と東武線はTOMIXのファイントラックの単線によるエンドレス。写真左で各線を繋ぐのが東京メトロ副都心線にあたる線路。実物は渋谷を境にそのまま一本の路線となっていますが、模型では東急と副都心線の分岐駅では複線同士が分岐するため、立体交差としています。
今回、直通運転レイアウトを作るにあたってモデルにしたのは、2013年から開始された東京メトロ・東急電鉄・横浜高速鉄道・東武鉄道・西武鉄道による5社7線の直通運転。その中でも中核を成す「東京メトロ副都心線」「東急東横線」「西武池袋線」「東武東上線」をそれぞれの線路に設定。複数のポイントや連絡線を介して直通運転遊びを行っていこうと思います。

▲西武池袋線と東武東上線の連絡駅であり、副都心線への分岐駅。かなり省略していますが、イメージは小竹向原あたりでしょうか?
両エンドレスを単線にしたことで、上下線の列車の動きに干渉する場所がなく、シンプルな配線の駅ができました。

▲レイアウトプランはこのような形。東急東横線・西武池袋線・東武東上線を東京メトロ副都心線を介して繋ぐ形態。
■東急東横線から東武東上線への直通運転
まずは東急東横線から東武東上線への直通運転を行います。以下ギャラリー画像にて一連の流れを解説いたしました。
- 東急東横線のエンドレスをまずは東急5050系を使って何周か運転。東武東上線内には10030系が走行中。
- 次に、それまで東武東上線内で走らせていた東武10030型を駅の本線(直線側)に停車させ、前後のポイントを副本線(駅内側)に切り替えます。その上で副都心線方向のポイントを開きます。
- 駅本線側のポイントは閉じた状態で、副本線は直線方向が開いた状態(副都心線方向)にします。切り替えは手動でも自動でもいいですが、本格的に楽しみたいなら自動にするのがおススメ。
- 東武側の準備が完了したら、東急東横線の分岐駅を出て副都心線へ向かう東急5050系。
- ここで改めて副都心線と位置付ける連絡線について触れてみます。矢印の部分にダブルクロスポイント(両渡り)を設置しています。これは東急東横線からの列車を東武・西武各線方面に、同時に東武・西武線からの列車を東急東横線の内回り・外回り各線へ分ける役目を持っています。スペースに余裕があればこの位置に駅を設置するとなお良いでしょう。
- ダブルクロスポイントは方向を振り分ける役目を果たしますが、ポイントの開閉に関係なくポイント中央のギャップを超えて通電はしません。そのため、直通運転をする双方のコントローラーを合わせます。
- このダブルクロスポイントを列車が着かする際、直通運転双方のコントローラーの位置を合わせます。
- コントローラーの前・後進の方向を合わせた上で、ボリュームの位置を合わせます。これは大体の位置で十分。
- 東急東横線からの列車はダブルクロスポイントを渡り、東武東上線方面へ進みます。
- ここからは単線並列の形で東武東上線へ向かいます。この区間を方向別複線とする場合は、ここだけ独立する形でコントローラーが必要になります。
- 東急5050系が無事、東武東上線の駅に進入。ダブルクロスポイントを通過した時点で東武側のコントローラーでの運転になります。
- 駅停車後、いよいよ東武東上線のエンドレスを走行していきます。西武池袋線のエンドレスへも同様の運転方法となります。
■ダブルクロスポイントの電流の流れ

▲通常の方分岐のポイントなどでは開いている方にだけ電気が流れる選択式ポイントですが、ダブルクロスポイントの場合、複雑な配線になるのを避け、ポイント中央部で双方からの電気をギャップによって切っています。このポイントを超えての電気配線は複線エンドレスへの組込以外は4方向の線路それぞれにフィーダーが必要となるのです。
■西武池袋線から東急東横線(外回り)へ
今度は西武池袋線から東急東横線の外回り線へ直通運転を行っていきます。
- まずは西武6000系が西武池袋線側の駅を出発。単線並列の区間を行きます。
- ダブルクロスポイントで左へ渡ると、東急東横線の外回り線へと向かいます。
- 今回は東急東横線の内回り線へと向かうため、西武池袋線方向から直線で進路を取ることにします。
- 西武の電車が東急東横線の分岐駅へ到着。進路は内回り線ですから、スイッチバックをするように、内回り線へ入っていきます。
- 折り返して東急東横線の内回り線に向けて発車! ここまでがNゲージで楽しむ相互直通運転の一例です。昨今の情勢ではなかなか難しいかもしれませんが、運転会などで仲間同士で持ち寄った線路を使って試してみるというのはいかがでしょうか?
■KATOユニトラックとTOMIXファイントラックとの接続方法

▲両社の線路の接続にはKATOユニトラック ジョイント線路(品番20-045)を使えばワンタッチで接続できます。
■お座敷レイアウトに“相直”の香りを…
今回は運転形態により、Nゲージで「相互直通運転」の雰囲気を出してみましたが、ただ単に既製品を並べただけのお座敷運転ではなかなかその風情を出すのが難しいというもの。ですが、お座敷運転でも十分相互直通運転の雰囲気を出せるような線路配線のギミックを紹介します。

▲複線から別の複線が分岐する場合はこのような立体交差が良く見られます。今回のように地下鉄へ入る場合、外側の高架線が地上線と考えると、中の2線は地下に入っていくようにも見えます。

▲今回の東武・西武の接続駅の場合、写真の青いラインの場所に引き上げ線を作ると、より私鉄風で、同時に運転できる列車の種類も増やせるでしょう。




















