特集・コラム

シーナリー散歩 Scene:2-4 東武日光線・鬼怒川線 東武日光駅

2021.02.21

取材日:’20.12.21
text & photo(特記以外):羽山 健(RM)
同行取材:遠藤イヅル

 レイル・マガジンで好評連載中の「シーナリー散歩」。全国の鉄道路線を訪ね、思わず模型にしてみたくなるような魅力的なシーナリーを見つけてご紹介しております。発売中の2021年3月号では東武鉄道日光線・鬼怒川線を掲載し、WEB編ではその補完をしていきます。今回は前回の(JR)日光駅から少し坂道を上ったところにある、東武日光線の終点、東武日光駅とその周辺を見ていきましょう。

▲山小屋風の三角屋根がユニークな東武日光駅舎。

 東武日光線の開業は、国鉄(→JR)日光線に遅れること39年の1929(昭和4)年。しかし当時の(鉄道省)日光線は単線非電化であったのに対し、東武日光線は当初から複線電化であり、しかも始発駅からの距離も短かったことから、東京からのアクセスに優位性を確保していました。(国鉄)日光線が電化されてからも優位は覆らず、かつて繰り広げられた両鉄道のライバル物語は東武の勝利に終わったのです。2000年代に入り、JR車による優等列車の東武日光乗り入れ、東武車による優等列車の(JR)新宿乗り入れが開始され、今は共同関係にあることはご存じの通りです。

▲駅舎裏手にも「東武日光」の駅名看板がある。

 その東武日光駅、山小屋風の巨大な三角屋根を有するこれまたユニークな駅舎です。この駅舎は1979年に建てられた2代目。ロータリーに面した側に「東武日光駅」という切り抜き文字の看板があるのはいいとして、その反対側、電車から降りた乗客が目にする側にも「東武日光」という同様の看板が設置されています。駅舎内は広々としており、観光案内所や大き目の売店、そして階段を上がった2階にはコインロッカーの他、ムスリム礼拝室まで備えられているのがさすが国際観光都市の駅というところです。

▲駅舎2階から改札口を見下ろす。天井が丸屋根状になっているなど、凝った意匠が所々に見られる。

▲2階から見下ろしたホーム。右手が1・2番線、左手が4~6番線(3番線は欠番)。

▲急勾配で上ってきた線路は駅直前で左へ急カーブして駅に進入する。1・2番線(写真右手)へ回り込む角度は急で、4~6番線へは一度1本に集約されてから分岐していることが分かる。また、道床が鉄板になっている箇所は、JRの日光線の引き上げ線をオーバークロスしている。

 ホームはかなり変わった配置で、基本的には駅舎に向かって直角に線路が伸びてくる(逆に言うと、線路のどん詰まりに駅舎がある)のですが、主に普通列車が使用する1・2番線が駅舎にまっすぐ面しているのに対し、優等列車用の4~6番線(3番線は欠番)は駅舎に向かって右手に逸れるように開く角度が付いて配置。ホーム数としては3面5線となります。歴史的には1・2番線の方が古いもので、ただし今も有効長が4両分しかなく、優等列車の6連が登場した際にそれまでの車庫のスペースへ新たにホームを設置したようです。結果、2番線と4番線の間には三角形状の空き地が生じ、中庭的に植栽が施されています。

▲写真右が1番線、左が2番線。有効長が4両分で、基本的に普通列車用。

▲5番線に入線した「リバティ」。空き線が4番線で、その左手に1・2番線があるがその間に三角状の空き地があることが分かる。

 4~6番線のホームにはトイレの汚物抜き取り装置や給水設備も備えられており、また付近には乗務員詰所としての独立した建屋なども数軒建てられていました。

▲5番線の「リバティ」を線路終端部から見る。

▲折り返し時間を利用してトイレの汚物抜き取りなどの作業が行われている。

 さて駅前ロータリーには魅力的な静態保存車が展示されています。かつてこの日光に存在した路面電車、東武日光軌道線の100形109号です。日光軌道線は実は東武日光線よりも歴史が古く、元は日光電気軌道という別会社でした。1968年に廃線となった後、100形は10両全車が岡山電軌に譲渡され、そのうちの1両がこうして里帰りしているのです(展示開始は2020年)。

▲駅前ロータリーに2020年から展示が始まった、元日光軌道線の100形。

 日光軌道線はこの先、馬返というところまで10km弱の距離延びていて、沿線には数ヶ所その名残があります。時間の関係で比較的日光市街地から近い、田母沢橋梁跡をついでに見てきました。日光田母沢御用邸近くの、国道122号が田母沢川を渡る橋のところ。車道が上下線に分かれて、その間に日光軌道線の橋梁がほぼそのまま残されているのです。幅のある中央分離帯(立入禁止とは表示されていません)から覗き込むと、明治時代に架橋されたというリベットゴツゴツのアーチ部材なども確認できます。

▲東武日光軌道線の遺構のひとつ、田母沢川に架かる田母沢橋梁。

▲アップで見ると、3ヒンジ鋼ソリッドリブアーチをいう構造の様子が窺える。

🔶レイル・マガジン2021年3月号(447号)新刊情報

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