text & photo:水野宏史
撮影日:’17.9.2(特記以外)
岩手開発鉄道は、岩手県の赤崎と岩手石橋を結ぶ全長11.5kmの貨物鉄道です。かつては大船渡線との接続駅だった盛(さかり)と岩手石橋の間で気動車による旅客営業も行っていましたが、1992(平成14)年に廃止されたことにより、以後貨物専業となりました。

盛駅に停車中の岩手開発鉄道石灰石輸送列車。ディーゼル機関車がホッパ貨車18両を牽引し、1日13往復運行されている。
’16.10.10 盛
現在は岩手石橋付近の長岩鉱山より採掘された石灰石を赤崎にあるセメント工場に輸送する役割を担い、現在4両のディーゼル機関車と45両の石灰石輸送貨車が在籍しています。ここでは、石灰石輸送に充当されるホキ100形貨車の側扉開閉機構について、2017年9月2日に盛駅などを会場として開催された「第20回 3鉄まつり」にて一般公開された、実演の模様をご覧いただきましょう。

岩手開発鉄道路線図
■超貴重!ホッパ車の側扉開扉シーン

岩手開発鉄道で石灰石輸送に用いられる35t積ホッパ車ホキ100形。1960(昭和35)年~2000(平成12)年の長きにわたり52両が製造された。現存するのは45両で、1列車18両編成を組んで運行される。
- 検査のため盛の検修庫内に停車中のホキ100形を使用して、側扉開閉の実演が行われた。車端下部のギヤの部分はデモ用に開けているもので、通常はケースで囲われている。
- 手作業で車端上部のハンドルで1両ごとに開閉することころだが、各車ともハンドルの下にモーター(中央の四角い箱の中)が付いており、遠隔操作で電動での開閉が可能となっている。
- スイッチは開閉ハンドルとは反対側の車端部に設置されている。このスイッチの操作で9両(18両編成の半分)が同時に操作可能となっている。。
- モーターの回転によりハンドル下の回転軸を回し、ギヤに連動して開閉リンクが動き、車両下部の側扉が開く。
- 側扉が閉まるとカムにより自動的に電源が切れ、扉が閉まったことを表すランプが上部に点灯する。
ちなみに実演では、電動開閉を解除して手動での開閉も披露してくれましたが、かなりの力を必要とします。一度に9両分の電動開閉が可能な遠隔操作の導入で、折り返し時間の短縮を含む運行の省力化に貢献しているものと思われます。
現在では希少となってしまった貨物鉄道ですが、岩手開発鉄道では現在でも機関車を含め19両編成の貨物列車が行き交う迫力が楽しめます。なお、お出掛けの際は運休日に注意したい。








