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特集・コラム

当時を語る謎のホーム~上田丸子電鉄廃線跡~

2020.08.27

 現在、上田電鉄は別所線の一路線のみで運行しているが、かつては複数の路線が存在していた。その当時の痕跡が実は別所線からほど近い場所に残っている。

■下之郷駅に残る、悲運の西丸子線ホーム

 下之郷駅は別所線の車庫が設けられており、駅員も配置された別所線の中では比較的大きな駅であるが、その片隅に使われていないホームと駅舎がある。
 駅舎には「上田丸子電鉄」と書かれており、ホームの先には留置線が設けられている。実は、この留置線こそが「西丸子線」の廃線跡の一部なのだ。西丸子線とは別所線の下之郷駅から東に延び、依田川に沿って丸子へ至る路線だった。
 しかし、1961(昭和36)年6月の集中豪雨によって依田川の橋梁が流出、その後代行バス輸送となり鉄道は休止から2年経て1963(昭和39)年に廃止となってしまった。

▲上田丸子電鉄西丸子線のホーム。当時を模した駅名板などが取り付けられている。

■上田城の堀の中を通る!真田傍陽(さなだそえひ)線

 上田丸子電鉄は上田駅始発の路線を別所線のほかにもう一つ運行しており、当時の国鉄の駅を挟んで反対側を起点に真田傍陽線のホームが存在していた。こちらは上田を出発し、北西に進み堀に沿ってぐるりと回り真田・傍陽をそれぞれ結ぶ路線となっていた。こちらは1972(昭和47)年まで運行されていた。

 その痕跡は意外にもはっきり上田城の堀の中に残っていた。堀をまたぐ橋と公園前駅がはっきり残っており、ホームは堀を活用した遊歩道に降りるアプローチとして活用されているほか、アーチ橋も当時のままだ。
 ぜひ、上田に行く際は上田城観光と合わせてこちらにも立ち寄りたい。

▲真田傍陽線の公園前駅跡。今にも列車が走ってきそうだ。

 

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