185系

特集・コラム

非電化区間の最新システム―蓄電池電車 第2回ー

2020.06.08
■蓄電池電車の導入とその工夫
 NE Trainの試験成果をもとに開発されたEV-E301系電車が、蓄電池電車の実用第一号となり、2014年に烏山線にデビューした。
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▲JR東日本EV-E301系”ACCUM“ 営業用として初めての蓄電池電車で、2014年に先行車を烏山線に投入。試験営業の後量産車を投入し、2017年にキハ40系を置き換えた。’14.1.29 宇都宮運転所 P:松沼 猛

 本形式は、図のようにパンタグラフを使用して電化区間あるいは充電用架線において蓄電池に充電を行い、非電化区間ではパンタグラフを下ろして蓄電池の電源のみで走行するというものである。
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▲蓄電池電車の動作イメージ 電化区間走行時はパンタグラフを介して走行用電力として使用することも蓄電池を充電することも可能となっている。

 なお、採用された蓄電池電圧は高電圧のリスクや価格を鑑み、630Vにまでコンバータを用いて降圧した上で充放電している。また、電化区間を走行時は電車と同様に走行するほか、蓄電池を充電することも可能である。そのほかにも回生ブレーキが使用可能であり、発生した回生電力を蓄電することも、昇圧して架線に戻すことも可能となっている。また、本形式は通常の充電モードのほかに急速充電も可能となっているが、急速充電モードを使用する場合は流れる電流が大きいため折り返し時に急速充電を行う烏山駅の架線は剛体架線に強化されている。同じく、通常充電を行う宝積寺駅の架線も強化型架線に取り替えられ、充電時の発熱による事故を防止している。ただし、走行時の充電は走行に伴う空気の流れによって常に冷却されるため、架線については特段の処置はしていないが、パンタグラフの集電舟は1基あたり4枚に増やされ強化された。
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▲EV-E301系の主蓄電池 EV-E301系の主蓄電池は630Vリチウムイオン電池。 GSユアサ製LIM30H-8Aを22直列・10並列で搭載しており、電力量は約190kWhとなる。 ’14.1.29 宇都宮運転所 P:松沼 猛

 この車両の導入によって烏山線のキハ40は全て本形式に置き換えとなった。のちに男鹿線などにも蓄電池車が配備されている点を見れば、短区間の路線では今後が期待されている技術であるといえよう。
本文:児玉光雄 要約・再構成:RM レイル・マガジン433号より

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