185系

特集・コラム

非電化区間の最新システムーハイブリッド機関車 第2回ー

2020.06.04
■ハイブリッド機関車からはじまる入換機関車の新時代
 シリーズ式ハイブリッド式車輌の大きな特徴として、ディーゼル発電・蓄電・走行などの各システムをモジュール化したことにより基本設計を共通化できるという点があげられる。JR貨物もこのコンセプトを取り入れ、バッテリー容量の変更により、大ターミナル用、小ターミナル用や、蓄電式機関車、燃料電池式などへの拡張性・発展性に配慮しているという。今後、蓄電池式や燃料電池式が実現すれば走行時の騒音は極めて小さくなり、運用中の汚染物質排出はゼロとなるだろう。また、貨物ターミナル内で使用する時間の長い入換用機関車は充電機会も多いため、近い将来は実用化が期待される分野である。なお、以前から炭鉱あるいは軽便鉄道や工場専用線などの短時間使用される機関車においては、蓄電池式バッテリーを用いた機関車が使用されてきたが、電力消費量の大きい貨物ターミナル駅での入換機関車ではまだ実現していない。
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▲入換作業を行うHD300 写真は西武多摩川線車両の甲種輸送の入換作業を行うHD300。発進・停止の回数の多い入換作業ではシリーズ式ハイブリッドシステムの本領が発揮される。’18.1.20 中央本線 八王子 P:寺尾武士

 しかし、ハイブリッド車はやはり高額な製造コストがネックとなっているようである。JR 貨物も本形式については、前述のように環境面での改善効果が期待される大都市圏の貨物ターミナル等での入換を中心とした限定的な運用となっているのが実情である。今後は、入換と貨物牽引を兼用する場合は、ハイブリッド機能を持たない電気式ディーゼル機関車であるDD200形というように、すみ分けがなされるのだろうか。
 とはいうものの、荷役線から貨車を引き出して列車組成を行う入換作業は一時停止などが多く、シリーズ式ハイブリッド車のシステムが最も活躍する場面であり、今後の活躍が期待されているといえるだろう。
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▲無動力回送されるHD300形 HD300形の最高速度は45km/hのため、基本的に本線での自力走行は行わず、他の機関車に牽引されて移動する。なお被牽引時の最高速度は110km/hとなっている。’18.10.10 中央本線 八王子 P:寺尾武士

(ハイブリッド機関車編 終)
本文:児玉光雄 要約・再構成:RM レイル・マガジン433号より

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