日本のディーゼル機関車は重量増や車体の過度な大型化を嫌って、液体変速方式を用いて普及した。そのため国鉄民営化直後のディーゼル機関車の主力は液体式のDD51形であった。しかし、貨物列車の重量増と北海道等における旅客列車のスピードアップに伴い、出力向上が急がれていた。そこでJR貨物はDD51形重連と同等の牽引性能を持つディーゼル機関車の開発に着手、DF200形が1992年に投入され、電気式制御が採用された。
▲JR貨物DF200形0番代 0番代及び900番代はドイツ・MTU製V型12気筒46.3ℓインタークーラーターボの12V396TE14形(1,700ps)を2基搭載。現在は識別のためスカートを赤で統一した。’18.7.28 函館貨物 P:寺尾武士
理由として、液体式はクラッチ機構を持ち、変速機の充油が常に攪拌されるため発熱を生ずる。つまり、変速機もより頑丈で大型にする必要がある。しかし新規に開発、輸入したとしても機械機構は損耗部分が多いため、大型機では整備が複雑化することが懸念された。そして最大でも20mの車体長によるスペースも考慮し、電気式の採用に踏み切ったのである。
DF200形は、エンジンで発電機を回し交流電気を発生させ、整流器以降は一般的な電気機関車と同一のシステムとで動いている。なお、画像のエンジンは国産のコマツSDA12V170-1形である。
▲コマツSDA12V170-1形 排気量46.3ℓのV型12気筒インタークーラーターボエンジンで、定格出力は1,800ps。なお、コマツ製エンジンの検査は稲沢で行うため、検査時はコンテナに積載して輸送。MTU製エンジンは札幌市内で検査を行う。’18.7.28 函館貨物駅 P:寺尾武士
また、本形式は電気ブレーキが使用可能とされており、走行用モーターを発電機として動作させ、その発電抵抗をブレーキ力とするものである。
本形式は、高い冗長性を確保するために2台のエンジンを搭載し、発電機、インバータ、補助電源装置や電気ブレーキを含め2組搭載している。これは、国内の線路有効長が短いうえに、貨物会社が支払う線路使用料には、動力車の輌数も含まれるため、極力機関車数を減らす必要があるからである。DF200形は現在、JR貨物の本線用機関車として確固たる地位を築き、DF50以来の電気式ディーゼル機関車の完全復権を遂げたと言える。
本文:児玉光雄 要約・再構成:RM レイル・マガジン433号より