ここ最近、電車との機器共通化を図る動きも活発化しており、JR東日本はキハ110系から、連結器の密着連結器化などの導入を行った。
▲JR東日本キハ110系 JR東日本の新世代気動車としてキハ100系 と共に1990年に登場。キハ110系は新潟鐵工所DMF13HZ形の他に、カミンズDMF14HZ形も搭載。出力は 420psで統一されている。なおキハ110系先行車にはフォイトT211rz形液体変速機が試用されたが、現在はDW14形に統一されている。’06.11.4 磐越西線 笈川~堂島 P:松沼 猛
このほかにもJR各社とも電車の基本システムとの共通化を進めている。これは現在、電車と共通の基地や工場でメンテナンスされる場合が多く、部品や仕様の共通化は作業のみならず部品、教育の面など様々な効率化にも繋がっているからである。
また、近年は様々な方式を採用した気動車が誕生しているが、それに伴い各種の装備を追加する必要があり、勾配路線では重量増化が効率・運転性能においてネックとなっている。このことから山岳路線では単位重量あたりの出力が大きい液体変速式気動車は強いと言える。
JR東日本のキハE130系とGV-E400系を比較してみると、双方とも同じエンジンを搭載しているが、電気関係の制御機器類の搭載のため1割ほど後者の方が重くなっている。さらに液体変速式は製造コストが安価なこともあり、近年JR各社の特急型車輌などでは、液体変速式気動車が採用されている。
さらに、近年は事業用列車の気動車化が進められている。理由として運転機会が少ないこと、機関車用のメンテナンス設備や要員を維持することが非効率であることなどが挙げられる。また、これらは電化・非電化区間をまたがって運用することを前提とするため気動車の採用が多く、こうした特殊用途も液体変速式気動車の新たなフィールドとなった。
▲JR東海キヤ95形DR2編成 2005年に登場した「ドクター東海」第2編成からエンジンをカミンズC-DMF14HZC形(N14ER形)に変更した。C-DMF14HZC形は電子燃料制御方式を採用して 環境性能を向上させた。出力も360psに向上している。’16.6.20 名古屋車両区 P:RM
▲JR西日本キヤ143形 老朽化した除雪用ディーゼル機関車DE15形を置き換えるために2014年に開発された事業用気動車。冬季に車体前後に取り付けられるラッセルヘッドは単線・複線対応の可変形 となっている。’18.8.26 金沢総合車両所松任支所 P:寺尾武士
先述の通り、日本は山岳線区が多く、液体変速式気動車の方が現時点では優位と考えられる。また、鉄道用内燃車については、法的な環境規制が未整備であることからこの動向にも着目する必要があろう。(液体式気動車編 終)
本文:児玉光雄 要約・再構成:RM レイル・マガジン433号より