特集・コラム

非電化区間の最新システム―液体式気動車 第1回―

2020.05.16
 今回から始まったWEB新企画、「おうちで読み物! PLAY BACK Rail Magazine」。コロナウイルス禍により鉄道旅行や鉄道撮影に出かけられなくなった今、ご自宅で鉄道知識を楽しく身に着けていただければ…ということで、過去のレイル・マガジンの記事から読み応えのある記事を厳選。なるべくこまめに新記事をアップしたいと考えています。最初の企画は、RM433号特集「非電化区間の最新システム」から。どうぞゆっくりお楽しみください!(レイル・マガジン編集部)
■液体式気動車の運転性能向上
 近年、非電化区間では電気式気動車やハイブリッド車が台頭しつつあるが、国鉄末期から民間・海外メーカーの技術によって大幅に改善が進んだ液体変速機を活用した液体変速式気動車も広く活躍を続けている。
液体式気動車の構造編集済.png
 その中でディーゼルエンジンの持つ課題は、運転性能向上に加え、有害排出物低減などの環境性能向上と、エネルギー効率を改善する、という3点が主に取り上げられてきた。
 まず、運転性能は国鉄末期に始まる直噴式エンジンによって大幅に向上した。加えて、シリンダーに送り込む空気を高圧化するターボチャージャー(過給機)も国鉄時代は採用が見送られたが、一般市場向けエンジンで技術が培われた結果、鉄道分野にも普及した。なお、ターボチャージャーで空気を急速に圧縮すると空気密度が低下するため、近年はこれの向上を図るため、キハ183系などインタークーラーを装備したものも多い。これらは自動車分野で発達した技術で、鉄道分野にも積極的に採用された。
キハ183系500番台_cap削除_600.png
キハ183系550番代 JR北海道が1988年に投入。インタークーラーターボのDML30HZ形とDMF13HZ形エンジンを搭載し、120km/h運転を実施した。一部は後にブレーキを強化するなどの最高速度130km/h対応改造を施し、キハ281系「スーパー北斗」とともに函館~札幌間の主力として君臨した。’89.8 函館本線 函館 P:松沼 猛

 
 これらの技術によって小型・軽量かつ大出力を得ることが出来、同程度の排気量で国鉄時代のエンジンの倍以上の出力を持つものも多くなった。また、エネルギー効率にも大きく関係する変速機の改良も見逃せない。エンジン出力を最大限駆動軸に伝えるためは、エネルギーロスが大きいオイルの対流を活用した変速段ではなく、直結段で運転する時間が長いことが望ましい。しかし、直結段間の切り替えを緻密に制御しないと、衝動の原因となり、乗り心地悪さやクラッチの損傷を招く。そこで、近年は電子制御による変速機が採用され、比較的低い速度領域から出力を充分に伝えることに成功した。かつては電車の加速力にはるか及ばなかった気動車がその加速力を凌ぐ車両もあるほどである。
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図表はクリックでポップアップします。
本文:児玉光雄 要約・再構成:RM レイル・マガジン433号より

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