text & photo:福島鷺栖
取材日:‘26.8.25
かつては、各地の非電化路線で見られたディーゼル機関車牽引の貨物列車も、現在では限られた地域でのみ見られる光景となりました。その中でもとりわけ工場専用線への輸送を主としているものはさらに限られてきます。こうした中、今なお非電化路線の貨物列車として残っており、かつ終着駅での入換を見ることができるものが富山県に残っています。今回は、そんな「速星貨物」の様子を見ていきます。
■高山本線を走る貨物
富山と岐阜を結ぶ高山本線は全線非電化で、途中の猪谷駅が会社境界駅となっており、以北がJR西日本、以南がJR東海の管轄です。今回紹介するのはJR西日本の管轄の区間にある速星駅と富山貨物駅を結んでいる通称「速星貨物」です。
牽引機はかつて東新潟機関区のDE10が担当していましたが、現在では愛知機関区所属のDD200が担当しています。

9時半過ぎに速星駅にDD200牽引の貨物列車が入線する。
■駅に隣接した工場とスイッチャーによる入換
「速星貨物」の主な荷主は速星駅に隣接する日産化学富山工場です。この工場では主にアンモニアなどを製造しており、コキ200などに積載されたタンクコンテナがズラリと並ぶ姿を見ることができます。製品の出荷などに貨物輸送を用いているため荷役設備も工場内に設けられており、入換は本務機であるDD200から速星駅構内で日産化学のスイッチャーに引き継がれます。長い編成を分割しながら工場内へ着便を引き込んでいく様子は必見です。これら入換の様子を以下の画像とともに見ていきたいと思います。

速星駅構内~工場構内の入換を担当するスイッチャー「DB252」。

DD200は富山方から入線し、一度猪谷方の本線上まで進んでからスイッチバックする形で構内に貨車を押し込んでいく

貨車を押し込むとDD200は駐機位置に引き上げる。

スイッチャーに繋がれていた貨車を一旦DD200の後方に留置。

着便の猪谷方に連結して入換を開始。

分割を行い、時には留置した貨車を避けるように入換を行う。

工場内の荷役ホームに貨車を分割しながら押し込んで10:30頃に入換はいったん終了。

「液化アンモニア専用」の文字が目立つ「UT10C-9コンテナ」。
ディーゼル機関車が牽引する貨物列車が駅に到着後、スイッチャーに引き渡して工場内に引き込む光景というのも、今ではすっかり珍しい光景となってしまいました。またここでは、構内の複雑な配線を駆使した華麗な入換作業も見ることができます。作業の観察の際には、速星駅構内の跨線橋が構内全体を見渡せるためおすすめではありますが、利用客の方の往来に十分配慮して撮影を心掛けたいところです。

速星駅舎。昔ながらの木造駅舎でこちらも必見。


