text & photo:髙木伸太郎(メトロP)

■先行販売された「E500型」と「PP自強号客車」の展示
今月、KATOは「台湾鉄路管理局(通称:台鐡)」の新型日本製電気機関車「E500」と、それが牽引する「PP自強号」の客車を日台両国で発売する。発表直後から話題になっているこれらの製品は、10月3日から4日にかけて、台北駅内にある台鐡の公式ショップ「台鉄夢工場(旗艦店)」にて先行販売およびイベントが開催された。
今回の新製品は以下の3点で構成されている。「品番 10-2086:台鐡E500型・2両セット」「品番 10-2087:台湾鉄路 『PP自強号』客車 6両基本セット」「品番 10-2088:6両増結セット」だ。

■オレンジの車体が特徴的なPP自強号の牽引車「E500型」の模型
今回KATOから製品化された「台鐡E500型」は、台湾で初となる日本製の電気機関車であり、老朽化が進んできた台鐡の電気機関車を大幅に置き換えるものだ。製品では印象的なオレンジの車体がNゲージで再現されている。加えて、車体前面には台鐡の英語名「Taiwan Railways」からとった「TR」のロゴが、側面には台鐡の紋章、車体番号、製造銘板の「TOSHIBA」のロゴが鮮明に印刷されている。

▲左写真がトラクションタイヤを装備したE500型、右写真がトラクションタイヤのないE500型。
また、「PP自強号」の「PP」の名前の通り、特徴的なプッシュプル運行を再現するために、2両ある機関車のうち片方にはトラクションタイヤが装備されていない。走行時にはトラクションタイヤを装備している方を先頭にすることが推奨されており、展示されていた模型も滑らかに走っていた。
■ドア部分の印刷が印象的な「PP自強号客車」の模型

一方で、客車はステンレス特有の銀色をベースに、オレンジ色の窓周り、腰板部に2本の赤色帯が入った外観を再現している。また、ドア窓の上には座席番号案内と共に、E500型対応工事時に貼られたドア付近注意のシールが再現されている。付属している行先表示シールは6種類の運行列車に対応しており、ユーザーの好みで様々な列車や運行区間にできる形となっている。

▲ブックケースに収められている「PP自強号客車」
加えて、設備の異なる4種の車両である「普通客車:35PPT1000」「身障者トイレ装備車:35PPH1300」「乗務員室・控室付:35PPC1400」「親子車両・元食堂車:40PPP2500」の窓配置が綺麗に作り分けられている。特に元食堂車の窓配列は旧国鉄で活躍した電車特急のものと似ており、日本のモデラー諸氏の中にも興味をそそられる方は多いのではないだろうか。編成中間部はいずれもボディマウント式密自連形カプラー、機関車連結部はナックルカプラーを標準装備しており、交換用アーノルトカプラーも付属するとのことだ。
■日本では発売されていない限定パッケージの製品

なお台湾で発売されているKATO製品には、日本版とは異なり限定デザインのスリーブが付属している。「PP自強号」も例外ではなく、客車には車体塗装を思わせるようなデザインが施され、E500型機関車は鮮やかなオレンジ色のパッケージとなっている。一方、日本ではKATOの一般的な緑色の箱とスリーブになるそうだ。現場にいたKATO関係者によれば「限定パッケージを目当てに日本からわざわざ買いにくる方も多い」とのことだ。
■ 台湾で開催される「鉄道模型コンテスト」限定のPP客車ラッピング車両

イベントでは、KATOの担当者から「KATOと台湾の今後」について話を聞くことができた。KATOは日本の大手メーカーでは唯一台湾現地の車両を製品化しており、過去には台湾高速鉄道「700T」や台鐡「EMU3000」などを世に出している。今後も台湾の市場拡大を視野に、KATOは台湾に現地法人を設立した。また、台湾で開催される「鉄道模型コンテスト」限定のPP客車ラッピング車両も用意しているそうだ。今回の「PP自強号」や過去の経験を活かし、さらに台湾の車両を積極的に製品開発していく意向だという。今後の売り上げ次第ではKATO USA(アメリカ)に似た運営スタイルを取りたいとのことだ。
■ 台北駅で開催されたイベントの様子

イベントには現地のレイル・ファンたちが集まり、大いに賑わっていた。子供たちの姿も多く、注目度の高さがうかがえた。特に注目を集めたのが走行展示されたKATO製の模型で、動く小さな台鐡車両を熱心に目で追っていた。KATOの関係者曰く「台湾は今アツイ」とのこと。実際に台湾では日本と同様にレイル・ファン文化が一般化してきており、鉄道模型の分野でも日本メーカーの製品が受け入れられている。また、台湾全土に個人経営の鉄道模型店やレンタルレイアウトがあり、日本人の間でも知られている有名店もある。一方で、台湾には現地のNゲージメーカーも存在しており、現地の車両を独自に製品化している。KATOの「PP自強号」に合わせて、現地メーカーと共に台湾を再現するのも、今後メジャーになる遊び方の一つになるのかもしれない。


