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異国の地で黄金色に輝く 東武100系スペーシア 日本と台湾を繋ぐ「親善大使」に抜擢された車両を見る

2026.07.22NEW

text:髙木伸太郎(メトロP)

台北駅前に鎮座する東武100系トップナンバー「101-1」。

 日本でも人気の観光地・台湾。その玄関口となるのが台北駅である。東京駅のように、在来線(台鉄)や新幹線(高鉄)に加え、台北市内を巡る地下鉄(台北メトロ)や桃園空港へ向かう桃園メトロも発着する一大ターミナルだ。現在の駅舎は線路の地下化と同時に建てられたもので、立派で広大であり、そしてどこか異国情緒に溢れている。しかし、その駅舎の前に、日本で見慣れた車両が留置されている。それが東武鉄道を代表する特急「スペーシア」として活躍した東武100系だ。異国の地で見るはずのない「特急・きぬ」「浅草」といった方向幕の文字。さらに、黄金に輝く「日光詣スペーシア」の塗装が、一際異彩を放っている。一体なぜ、関東私鉄の東武100系が遠く離れた台北にいるのだろうか。

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■台湾と日本根芽生えた友情

 台湾全土の在来線を運行する台鉄は、日本の各鉄道事業者と提携していることでレイル・ファンの間ではおなじみだ。東武鉄道も例外ではなく、2015年12月に「友好協定」を締結している。東武鉄道によると「相互送客キャンペーンの実施を皮切りに鉄道現業同士の人的交流や、台鉄南港駅両社コラボレーションPR、台鉄の弁当節(駅弁フェア)出展の他、意見交換を行う等、交流を続けてきました。」とのこと。2025年に友好協定が締結10周年の節目を迎えたことから、「友好の懸け橋」として「日光詣スペーシア」を寄贈することになったという。

■親善大使に抜擢されたトップナンバー「101-1」

 この大仕事に抜擢され、“親善大使”となったのは、東武100系のトップナンバーである「101-1」の1両だ。同車はすでに運用を離脱しており、長らく先頭車2両のみが保管されていた。今回の寄贈に合わせて、営業運転終了時の「デラックスロマンスカー(通称DRC)」の復刻塗装から「日光詣」カラーへとお色直しされている。

 現在(2026年3月時点)、車内は公開されていないものの、展示スペースからは台湾側の気合が感じられる。先頭部には、日本語と中国語(繁体字・台湾華語)の2言語による車両解説板が設置されている。解説には「VVVFインバータ制御の全動車…」といったメカニカルな点も明記されており、レイル・ファンも満足いく内容だ。車両の隣には「友好協定」10周年を記念する展示パネルも用意されている。また、車両の右側には簡易的なプラットフォームが設置され、車体を間近で見学することも可能だ。東武のCIロゴや100系の方向幕など、普段見慣れた車両を異国の地で目にする違和感(新鮮さ)はなんとも言えない。さらに、一部の床下機器が抜き取られているものの、今も現役で活躍している系列の台車や台枠、検査標記なども近くでまじまじと見られるのは、日本でもなかなかない貴重な機会と言える。

■台湾で愛される「黄金色」と両社のコラボレーション

 台湾では黄金色は縁起が良いとされており、黄金に輝く「日光詣スペーシア」の塗装は現地でも人気を集めているそうだ。加えて、両社の相互企画として、東武鉄道では2016年6月より特急「りょうもう」用の200系1編成を、台鉄の特急「普悠瑪(プユマ)」カラーに変更して運行した実績がある。当時大きな話題を呼んだが、台湾側でも2016年10月3日〜2017年4月17日の半年間、台鉄の看板列車「自強号」(JRの特急に相当)として運行されるE1000型プッシュプル列車に「日光詣スペーシア」の特別塗装が施された。東武鉄道が「台鉄特急『普悠瑪(プユマ)』と共に、友好の懸け橋として活躍してきた『日光詣スペーシア』」と表現するように、車両は違えど、台湾にとっては約10年ぶりに「日光詣色」の車両が姿を現したことになる。

■1年限定の展示、その後の行方と保存への願い

 現在展示されている東武100系「101-1」は、1年間の期間限定とのことで、展示期間は2026年12月までを予定しているという。その後の処遇は現在未定であり、動向が気になるところだ。推測の域は出ないが、すでに東武で引退している車両であることを踏まえると、再び日本へ戻される可能性は低いものと考えられる。台湾では、日本の583系寝台特急電車や0系新幹線などが保存され、台北に「國家鐵道博物館(国家鉄道博物館)」が整備されつつある。台北駅前での展示が終了した暁には、ぜひ同博物館にて末長く保存されることを切に願うばかりだ。

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