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海外発のプラレール583系!?知る人ぞ知る謎多き非売品「USA版寝台特急」その全貌に迫る

2026.04.04NEW

text & photo:なゆほ

 60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回は知る人ぞ知る非売品の583系についてご紹介します。カラーバリエーションも用意され、コレクターたちの間では有名な製品となっています。(編集部)


【写真】知る人ぞ知る非売品の「USA版583系」オリジナル製品との比較も!写真をもっと見る

 プラレールには過去30年ほどの間に数多くの非売品が配布されています。主に「プラレール博」などのイベントで行われるゲームの参加賞だったり、雑誌の付録や懸賞、メーカーの懸賞、店頭購入時の特典、変わったところでは鉄道会社のスタンプラリーの景品だったりと、そのバリエーションは多彩です。
 毎年何かしらの形で配布されている非売品のプラレールですが、中には一風変わったものもありました。今回は「企業ノベルティ」として登場し、かつ現在も人気の絶えないある非売品を紹介します。


▲2003年に配布された通称「USA版寝台特急」3色

 プラレールのコレクターが台頭してきた1990年代後半、当時はまだ全国に数多く現存していた玩具店で古いプラレールを探し当てるファンが続出しました。インターネットによる個人間の交流も発達してくるにつれ、玩具店の在庫の情報共有や争奪戦が繰り広げられたとも伝わっています。中でも、1975年に発売された583系をモチーフとした「しんだいとっきゅう」 (後に「寝台特急」)はその高い完成度に加え、1982年に絶版となっていたことから入手困難品として当時から知られ、某オークションサイトにおいてはかなりの高額で落札されたという逸話が残るほど、今日に至るまで人気のアイテムとなっています。
 この「寝台特急」は、2001年の「プラレールの日(10月14日)」にディテールアップを施した状態で約20年ぶりに復刻され、台車のグレー成型化、屋根、運転台周りの塗装化、「ヒゲ」ステッカーのブラッシュアップ、列車名を「はつかり」に指定するなど、リアル化が進行していた当時のラインナップに合わせた形で再登場しました。
 入手困難な寝台特急を容易に手に入れられるということで人気の品となりましたが、コレクターたちの視点ではディテールアップがされていない、「当時の姿」が欲しいところでした。その約2年後の2003年、とある企業が「ノベルティ」として、この復刻版を極力「当時の姿」に近づけたものを発注・配布したものが現れました。これを通称「USA版寝台特急」と呼びます。通称の通り、実はアメリカの企業が発注したもので、日本国内品ではありません。正式な商品名も不明です。

▲通常ラインナップに載っていた頃のもの(写真手前)との並び

 「寝台特急」は製造時期により車体のクリーム色の成型色が異なり、薄いものと濃いものが存在しています。「USA版寝台特急」ではこの2色を再現したものに加え、少数ながらオリジナルカラーである「銀メッキ」のものも作られました。これらはその色から「薄色」「濃色」「銀メッキ」のように呼ばれ区別されています。この色違いのため、一括で生産されてはおらず、2003年3月から10月にかけて三度に渡り生産されていたそうです。
 経緯は不明ながらも、まずはまとまった数の「薄色」が日本に輸入され、ある程度が希望者に行き渡りました。その後に「濃色」「銀メッキ」も順次輸入されています。「濃色」は抽選による配布のほか、舞浜にあった天賞堂Hbf店の店頭で販売され、「濃色」をその購入特典として配布、「銀メッキ」も販売に回され、現在出回っているものの一部には当時の値札が貼られているものがあります。
 箱は非売品らしく無地の白色で、前面には生産メーカーと発注元企業の住所と思われるカリフォルニア州ニューポートビーチと記載され、裏面には日本国内品に準じた「電池の入れ方」が印刷されています。箱は各色で共通であるため、流通状態によっては「濃色」に黄色(Yellow)を示す「Y」、「銀メッキ」に銀色(Silver)を示す「S」のステッカーが貼られているものがあります。

 車体は2002年に発売された「JR西日本スペシャルセット」の「きたぐに」用にJNRマークを削除する改修が施された型を利用しており、通常ラインナップ版・2001年復刻版との外見上での大きな違いとなっています。ステッカーは復刻版のものを流用しており、列車名は「はつかり」です。
 「銀メッキ」は塗り分けこそ元の製品に準拠しているものの独自のアレンジが加えられており、「ヒゲ」と窓周り塗装、台車の成型色は黒色、車輪はプラレールでは珍しい緑色とされ、異彩を放っています。
 こうして世に出回った「USA版寝台特急」ですが、配布・販売も2003年の一時期のみに留まり、またアメリカの企業の発注かつ詳細不明というミステリアスな経緯がファンの間に知られるところとなり、20年以上が経過した今でも非売品の中では高い知名度を誇っています。

 2006年発売の「歴代つばめスペシャルセット」を最後に製品化がなく、実車も50年に渡る活躍の末、2017年に引退してしまった583系。昨今展開される「大人向け」の商品展開を行っている中ではピッタリの題材にも思えます。USA版のような発売当時そのままに近い復刻、または「リアルクラス」での発売など、また日の目を見てほしい電車の一つです。

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