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特集・コラム

鉄道車両における「一軸台車」ってなに?その構造や意外と多い採用車両について知る!

2026.03.31NEW

text:RMライブラリー編集部

 鉄道車両における「一軸台車」。少々耳慣れないフレーズではあります。というのも、一般に鉄道車両で台車と言えば、ボギー車でおなじみの2つの車輪を持つものが普通で、二軸貨車のように1軸ずつ独立した固定軸の走り装置は、ただそれだけでは「台車」と呼びません。それでは、「一軸台車」とはどういうもので、どういう車両に使われているものなのでしょう。

▲一軸台車の一例。名鉄キハ10形に採用されたFU-30形台車とその概念図(作成:長澤泰晶)。

 写真は名鉄での廃車後、くりはら田園鉄道に譲渡されたKD10形(保存車)のもの。

2021.2.13 旧若柳駅 P:長澤泰晶

 一軸台車を「台車」と呼ぶその特徴は、「台車枠」と呼ばれる部位が存在するものを指します。すなわち上写真および図のように、台車枠が存在するものが一軸台車とされます。

 一軸台車を採用する目的といえば、機関車などの軸重軽減のため輪軸を設けたい場合に、レールに掛かる横圧を減らす目的でマクラギ方向に動かす機構を入れたい場合、また二軸貨車などの小型車で高速運転を行い場合に利用されます。

 ちなみに上写真とその右の図は、1984(昭和59)年製の名鉄キハ10形に採用されたFU-30形台車とその概念図で、図に見える青色の部分が台車枠にあたります。キハ10形は当時の名鉄閑散線区に投入されたいわゆるレールバスで、名鉄での廃車後は、くりはら田園鉄道(2007年に廃線)に譲渡されました。

▲一軸台車を採用した車両は、国鉄の機関車・貨車や私鉄の路面電車、さらにはレールバス、モノレール、新交通システム、保守用車など実に多岐に渡る。

出典:RMライブラリー309巻『一軸台車を履いた車両』

 

 意外な車両に用いられていた一軸台車ですが、国鉄の二軸貨車の中にも試験的に一軸台車を採用した車両がありました。1968(昭和43)年に貨物列車のさらなるスピードアップを模索して、試験車両としてヨ9000形およびレム9000形が2両ずつ新製されました。

 この4両を用いて各種試験が実施されましたが、いずれも結果は思わしくなく、皮肉にも晩年には65km/hの速度制限が設けられ、黄帯を巻くことになってしまいました。

 

▲貨物列車の緩急車のスピードアップを目指し、一軸台車を履いて試作されたヨ9000形。たびたび台車を履き替えて試験が重ねられたが、最後には65km/hの速度制限が設けられてしまった。

出典:RMライブラリー309巻『一軸台車を履いた車両』

 

 国鉄では芳しい結果が得られなかった一軸台車ですが、現在でも積極的に採用されているのが保線車両の世界です。中でもFU-12形と呼ばれる台車は、東海道新幹線が開業した1964(昭和39)年より新幹線向け電気作業車(RIM)用に製造を開始して以来、60年以上にわたって造られているロングセラーです。

 

▲左は東海道新幹線開業の1964(昭和39)年より新幹線向け電気作業車RIMに用いられたFU-12形台車。右はJR東日本の北陸新幹線向け確認車GA-100に用いられる一軸台車で、基本構造はFU-12形を踏襲している。

2017.10.14 新潟新幹線車両センターのイベント時に撮影

P(いずれも):長澤泰晶

 このように、一見過去の技術のように思われがちな一軸台車も、広く目を向けてみると現在でも幅広く使われていることがわかります。これまでと違った視点で、鉄道車両の足回りに目を向けてみてはいかがでしょう。

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