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限定品で今でも現役!発売から45年を迎えるロングセラープラレール「近鉄30000系ビスタカー」とは

2026.02.07NEW

text & photo:なゆほ

 60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!


【写真】登場から45年を迎えたプラレールのビスタカー 写真で新旧を見比べてみる!

 プラレールの製品は車両・情景問わず、多くのものは一定期間生産されたのちに販売を終了し、次の製品へと交代します。もちろん長寿を誇る製品も存在し、レイアウトの基本となる「直線レール」「曲線レール」は65年以上生産され続けているほか、1972年に登場した「旧型客車」や、1973年に登場した「DD51」、1975年に登場して2019年までラインナップに載っていた「東海型急行電車」などは、一時的な生産休止を挟みながらも2026年現在まで現役です。
 こうした製品の中で、一般販売されていた期間よりも、イベント限定品となってからの期間の方が長いという変わった車両が存在します。それが「近鉄30000系ビスタカー」です。


▲1981年発売の「ビスターカー」。裾帯が省略された1985年以降の姿。

 「ビスターカー」は本連載でも以前取り上げた「レッドアロー」「パノラマカー」と同時期の、1981年に登場したリアル寄りの造型を持った車種のうちの一つです。近鉄(近畿日本鉄道)が1958年に導入した10000系、1959年に導入した10100系に続き、1978年にデビューした3代目のビスタカー30000系がモデルとなっています。
 近鉄の商標としては「ビスタカー(Vista Car)」ですが、プラレールではなぜか「ビスターカー」表記となっていました。これは1987年の動力更新の際に「ビスタカー」に直されています。
 先の2車種同様、プラレールらしく帯はモールドで表現されているものの、屋根はネジ留めの別パーツ化、クーラーやパンタグラフ廻りは細かく表現、ダブルデッカーの中間車1階部分のルーバーも掘られ、先頭・後尾の後部にあるトイレ区画もしっかりと再現されています。行き先は観光特急らしく「賢島」とされました。
 「レッドアロー」「パノラマカー」と同様、1987年に動力更新を受け引き続きラインナップに載り続けていましたが、80年代後半から私鉄各社の特急車両に新型が登場。新型も順次製品化されていき、まず「パノラマカー」が「名鉄パノラマスーパー」に置き換えられ1989年に絶版。同年には近鉄の新型車両21000系をモデルとした「近鉄アーバンライナー」が発売され、直接置き換えにはなりませんでしたが「ビスタカー」も1991年に絶版。「レッドアロー」も同年に絶版となり、1981年に揃って発売された私鉄特急電車はそれぞれ姿を消しました。


▲2002年に「シーズントライ桜」と「プラレール博限定品」にて復活。ディテールアップが施され、型の出来の良さを引き出した。

 このように1990年代時点で既に過去の製品となっていた「ビスタカー」をはじめとした私鉄特急車たち。以前取り上げた中国向けプラレールで「ビスタカー」「レッドアロー」が1998年頃に復活していますが、これもこの一度きりでした。その後は動きがなく、このまま姿を消していくのだろうかと思われていましたが、2002年に驚くべきセットが発売されました。それが「シーズントライ桜」です。
 このセットはその名の通り季節ごとの情景をイメージしたレイアウトを電車が走るといった内容で、2001年に発売の青梅線101系(プラ電車)が含まれた「シーズントライ紅葉」に続く季節モノでした。白・薄いピンク・濃いピンクに成型された立木・並木と、グレーの台座に緑色の小屋が付いた「音入り踏切」、水色の吊り橋、そして近鉄湯の山線に実在する「桜駅」をイメージした街の駅といったこのセット独自のカラーリングが施された情景部品に加え、既存の型にディテールアップを施したリアルな装いのビスタカーが入り、今でもファンからの根強い人気を誇るセットとなりました。
 2002年の発売当時、実車のビスタカーは全編成に更新工事が行われ、中間車2階の形状や外装が変わった「ビスタEX」になっていましたが、このセットでは往年の姿のまま製品化されたことでその人気をより強固なものにしています。
 セット発売と同年、プラレール博などのイベントで販売される限定品にもビスタカーが登場します。セットでは「湯の山温泉」行きとなっていたものが「京都」行きになり、新たなバリエーションとなりました。
 近鉄沿線の方にとっては馴染み深い上、今となっては懐かしい姿のまま発売されていることが受けたようで、2002年の発売以来、2026年の現在に至るまでイベントやプラレールショップで入手可能というポジションを得ています。「レッドアロー」が通常品としての絶版後に国内品では復刻せず、「パノラマカー」も2003年と2011年の二度単発で発売された程度であることに対し、通常品では10年程度の発売だった「ビスタカー」は、限定品となってからは20年以上生産され続けているという、同時期の私鉄特急車はおろかプラレール車両全体で見ても珍しい製品となりました。限定品となってからも実車には変化が起こっており、2016年から2018年にかけて二度目となる塗装変更、喫煙室の設置による窓割の変更など、プラレールで製品化された当初の姿とは大きく変わりました。
 1981年の発売から、今年2026年で45年を迎えます。引き続きイベント限定品として入手可能であることに変わりはありませんが、近年はプラレール博などのイベント紹介ページには載らなくなったり、実車の方もデビューから48年を迎えており、「車両の更新」という置き換えなのか新たなリニューアルなのかはまだ不明ではあるものの今後の方針が示され、その動向が気になるフェーズに入ってきました。
 全国流通品ではないためか注目度は低いものの、なかなかの長寿製品となった「ビスタカー」。プラレール、実車共に今一度注目される日も近いかもしれません。

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