取材日:‘20.8.30
text & photo:福島鷺栖
■甲府駅から3駅目のディープな駅とは?
山梨県甲府駅と静岡県富士駅を結ぶ身延線は路線名の通り、富士山の西側の身延町を経由する風光明媚な路線です。また、レイル・ファンにとっては旧型国電が比較的近年まで活躍していたことや、ワインレッドに白帯のカラーリングが特徴的だった身延線色の115系が運用されていたことでも有名です。
そんな身延線の山梨県側の起点である甲府からわずか3駅のところに、荘厳な駅舎とかつての貨物輸送の遺構が残る非常にディープな駅があります。
【写真】荘厳な駅舎と構内の本数の多い線路が歴史を伝える 南甲府駅の様子の写真をもっと見る!

南甲府駅舎。左右対称のデザインとなっている。
■広い構内と荘厳な駅舎
甲府駅から身延方面の列車に乗って3駅目が南甲府駅です。身延線は全区間がJR東海の路線となっており、東海地区ではおなじみのオレンジのラインが入った駅名表が出迎えてくれます。ホームは1面2線で、両側には側線が複数並んでおり、中間駅としては広い構内を有していることがわかります。

東海地区おなじみの駅名表。

広い構内と側線群。かつては貨物輸送が盛んだった。
ホームと駅舎をつなぐのは、昔ながらの構内踏切です。ホームと駅舎の間にも側線が並んでおり、貨物輸送華やかりし頃を忍ばせます。駅舎は背後から見るとシンプルな造りをしていますが、正面は全く違った印象を受けますので、ぜひ降りられた際は改札を出ることをおすすめします。

ホームと駅舎の間に設けられた構内踏切。
■荘厳な駅舎と「富士身延鉄道」
改札を抜けて駅舎を出ると、左右対称が美しい駅舎を見ることができます。正面の表玄関上部のレリーフも印象的ですが、何より鉄筋コンクリート造りの機能美的な美しさとレリーフの装飾的な美しさが見事に調和した造りが印象的な駅舎です。

駅舎を正面から見た様子。昭和初期に建てられた。
南甲府駅の駅舎は、身延線の前身である「富士身延鉄道」により甲府南口駅として昭和3(1928)年に建てられました。本社も置かれ、貴賓室も開業当時は設けられたそうです。その後、昭和16(1941)年に富士身延鉄道は国に買収され身延線となり、現在に至ります。この駅舎はまさしく身延線が私鉄であったことの名残なのです。
■兵どもが夢の跡…華やかりし貨物輸送の痕跡を求めて
身延線の甲府側の拠点としての役割を担ってきた南甲府駅。かつては貨物輸送も盛んで1990年代頃まで行われていました。駅の側線群はその名残で、この駅から周辺の油槽所や工場へ専用線も伸びていました。現在も一部が残っていますので、最後にご紹介したいと思います。

駅の東側にあったセメント工場への専用線の跡。立派な貨車門が現在も残るが、その手前でレールは寸断されている。
身延線はかつて旧型国電の最後の楽園として飯田線と並ぶ人気を誇っていました。また、現在ではJR東海の373系を使用した唯一の特急列車である特急「ふじかわ」が運行されており、その373系を使用した臨時急行などでレイル・ファンの注目を度々集める路線の一つでもあります。ぜひ、身延線に足を運んだ際には、南甲府駅で途中してみてはいかがでしょうか。





