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レイル・ファンから人気のディープなスポット!スイッチャーが動き回る!今も残る昔懐かしい貨物線の光景

2025.12.21NEW

取材日:‘25.8.26(特記以外)
text & photo:福島鷺栖

 かつては、全国各地で見られたセメント列車。しかし、現在ではその多くが姿を消し、三岐鉄道東藤原~四日市で運行されるセメント列車は今も残る数少ない存在の一つとなりました。そんなセメント列車の四日市側の終着点では、かつて見られたような限られた配線で複数の機関車が入換を行う光景を今なお見ることができます。今回は、そんなノスタルジックでディープな太平洋セメント専用線の様子をご紹介していきたいと思います。

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限られた配線の中で機関車の引上げ等を駆使して着便と発便の入換作業を同時に行う。

■可動橋を越えてセメントタキ列車がやってくる!

 今回紹介するのは、三岐鉄道東藤原駅に隣接する太平洋セメントの工場から、四日市の工場へ向かうセメント輸送列車です。かつては各地で見られたタキ1900を使用したセメント貨物も、今やこの列車が唯一の存在となっています。

四日市側の終着点は四日市駅の構内ですが、通称「四日市港線」と呼ばれる路線が四日市駅からさらに海側へと延びており、ここには端である四日市港まで本務機として富田~四日市を牽引してきたDF200がそのまま入ってきます。

構内へ入線してきた列車を見る。構内入換扱いのため入換灯を点灯させ、デッキには誘導掛が同乗する。

 ここで、四日市港駅付近の配線について解説します。四日市から単線で延びてきた線路は、運河を越える可動橋(跳ね橋)を渡った所で工場からの引き込み線に合流します。四日市港の構内は南北に延びており、南側は入換用の機回し線が2線に分かれており、北側は単線で工場まで延びています。入換は主にこの南側の二股に分かれた箇所で行われます。

北側の終端部がセメント工場、南側は引き込み線となる。この単純な配線を駆使して入換が行われる。(出典:国土地理院)

■限られたスペースで着便と発便を入換!

 着便と発便の受け渡しがこの限られた配線の中で行われるのも、ここの構内入換の大きな見どころの一つです。今回は、一つ一つ写真で見ていきたいと思います。

着便がまず入線。一番奥まで入線し、機回しを行う。

機回しを行った後、一度分岐点を通過し、四日市方へ引き上げる。引き上げている最中に発便を工場のスイッチャーが運んでくる。

スイッチャーが運んできた発便にDF200が連結され、先に発車させる。

機回し線が空いたところをスイッチャーが機回しを行い、DF200が牽引してきた着便に連結して発車。

■港湾部の工場で行き交うスイッチャー!

 ここ、太平洋セメントの四日市港の工場には近年、北陸重機製の2軸スイッチャーも導入されていますが、この日は珍しく白色の4軸のDD452が運用に入っていました。ちなみに、この工場の入線時は有効長の関係から、列車を2分割する必要があり、その入換作業も間近の踏切から観察することができました。

 この工場の配線は、単線で四日市港の構内とつながっており、北側に荷役線が2本、あとは南側に機関庫等が設置されていますが、入換に主に使うのは北側の荷役線2本と機回し線の1本のみです。それでは、入換の様子を見ていきたいと思います。

工場に到着した列車は編成を分割し、まずは一番北側の荷役線へ引き込む。

続いて機回しを行い、分割した後ろ側の貨車連結し、工場へ引き込む。

分割した後ろ側の編成を南側の荷役線につけると再度機回しを行う。

最後は一番北側の荷役線の貨車に再度連結し、荷役作業のためゆっくりと貨車を押し込む。

 近年、貨車の更新も見られ、今回の取材時にも白いタンク貨車「タキ1300形」を見ることもできました。スイッチャーの更新も行われ、この専用線の光景も変わりつつあります。ですが、このノスタルジックな四日市港線が引き続き活躍することを願ってやみません。

 なお、今回についても一部通行量の多い箇所もあるため、訪れた際には周囲の迷惑にならないよう十分注意してください。

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