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特集・コラム

ホコリをかぶってしまった鉄道模型レイアウトを土日でリフレッシュ!ジオラマとレールのお掃除をやろう!

2025.08.29

text & modeling & photo:瀧口宜慎(RMライブラリー)

 鉄道模型の世界ではよく「レイアウトに完成無し」と言われることがあります。これは「一応の完成を見たとしても、常に手を入れ、気になるところは改修することで、より一層完成度の高い情景が作り上げられ、同時にレイアウトのコンディションも保たれる」ということを示すのかもしれません。そんな言葉に反して長い間放置してしまったレイアウトはその劣化からは逃げられないものです。ですが適切にリフレッシュすることで、製作当時の輝きを取り戻すことも可能です。そこで今回は、古びたレイアウトを完成当初の姿に近づけるレイアウト・リフレッシュ作戦を試みました。

【写真】詳しいレイアウトのリフレッシュ手順を画像で見る!

 ここでお見せするのは私が10年以上前に製作したレイアウトで、スイッチバックの駅と渓谷、そして鉱山を持つ変形8の字ループ線を持つ960×700mmサイズのものです。
 長い間、タンスの上に放置されて全体的に黄ばんでしまい、堆積したホコリに加えフォーリッジやパウダー類の退色、紙粘土などの地形分の肉痩せによる変形もあって、正直かなり状態は見た目以上に劣化していました。ですが根気よく取り掛かれば10年前の輝きだって取り戻せるはず…ということで、このレイアウトを土日の2日間でリフレッシュしたいと思います。

■用意した道具

▲左からダイソーで購入したすき間洗い用のスティック(先端の布に洗剤やレールクリーナーをつけて対象物を拭うのに使用)、同じくダイソーで購入した絵筆(先端をカット・繊維にコシを出してホコリを払うために使用)、シャイネックス製の「レールドクターツーアップ」(レール研磨用スティック)、ハンディクリーナー

 まずは100円ショップのダイソーで買った「すき間洗い用のスティック」の登場です。プラスティックの柄の先端に起毛した布が貼られ、先端はある程度曲げ癖が付くので、これで狭いところのホコリをこそぎ落とします。2つ目は同じくダイソーで購入した「水彩画用筆3本セット」。やや毛足が長いので、カットして毛にコシを出して使います。3つ目はレール研磨用のシャイネックス社の「レールドクターツーアップ」。これもプラスティックの先端に研磨スポンジが貼られたもので#1000クラスと#3000クラスがあります。そして最後に「ハンディクリーナー」。充電式の小型掃除機で、細かいホコリを取っていきます。

■全体の清掃から

▲ダイソーのすき間洗い用スティックで木々の間にある神社の屋根を清掃中。

 ハンディクリーナーを使って線路周辺から順に、道路、河川、緑地帯などレイアウト全体のホコリを吸い取っていきます。一般的な家庭用の掃除機だと吸引力が強すぎて、ストラクチャーやフィギュアまでも吸い取ってしまったり、フォーリッジやパウダーなど緑地を破壊してしまう可能性があるため、吸引力の弱いハンディクリーナーのほうが便利です。トンネル内や掘割などの狭いところにもノズルが入るので、取り回しも非常に楽になります。どの程度ホコリが取れるのか不安もありましたが、清掃の後、集塵タンク内を見ると細かな塵が意外なほど溜まっていて驚きでした。

■緑地帯はエアブラシで再塗装

 色褪せた山や林は、少々荒いやり方ですがエアブラシで薄く溶いた緑系の塗料で再塗装をするのも手です。車両と違って細かくマスキングをする必要がなく、多少はみ出しても下草や苔に見えるので、大きな問題にはなりません。ただし換気は十分にしましょう。また、エアブラシを缶スプレーでは代用できません。缶スプレーは塗料の粉末が粗く、吹き出し範囲が広いので、使うのはやめておきましょう。線路もバラストが剥がれた部分やバラストの色味を統一するために同じくエアブラシで再塗装を行なうのもオススメです。その場合、線路の塗料が乾く前にレールの表面だけ清掃用のスティック
類や、割りばしの先端に布を巻きつけたもので拭き取って、最後に先述の「レールドクター2UP」で磨くとよいでしょう。

■スライム状クリーナーでの清掃

 河川や池などの水面表現部分についたホコリをスライムで吸着させる方法がありますが、この方法は木やバラスト部分にも有効とのことです。一方でスライムは「洗濯のり」と「ホウ砂」で自分で作ることができるというのも有名な話です。
 ここでは一度自家製スライムを作って、クリーニングしてみました。

■自家製スライムの効果は如何に!?

▲バラスト表面のホコリをちゃんと巻き込んでいる自家製スライム。ただし扱いにくいものでもあるので、ここは専用品を使用するのが良いだろう。

 

 自家製スライムを使って清掃してみましたが、結論から言うと「やはり既製品の専用品のほうが失敗はない」という教訓が残りました。自家製は粘着性が悪く、スライムそのものの繋ぎ要素が少ないためか使っているそばからボロボロと崩れてしまいました。崩れたスライムをピンセットで摘まんで取り除いたのですが、取り除き忘れたスライムがバラストの間に浸透してしまい、かえって状況を悪化させた部分もありました。ここはちゃんとした正規品を使うことをおすすめします。

■河川と池の再加工

 水系素材の肉痩せと、色味が退色してしまった水辺は、改めて水面に下色を塗り、表直にターナーのグレインペイント・アクアシリーズのブルーダークを塗ってみました。やや厚塗りしたので、透明感の出る完全乾燥まで2日ほど掛かりましたが、潤いある水辺が復活しました。

 レイアウト全景で見れば、車両の配置のせいもあるにせよ、全体の色味が増して生きているレイアウトの雰囲気が出たと思います。
 さすがに10年以上前の製作だけに粗い表現や技術の稚拙さもあり、今後とも作り変えていきたい部分がかなり散見されました。「レイアウトに完成なし」。これからもアップデートとメンテナンスを続けたいところです。

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