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DD51とスイッチャーの動きが楽しい!南四日市で最後まで残った工場専用線 現役当時の様子を振り返る!

2025.08.22

取材日:2018.5.30
Text&photo:福島鷺栖

 先日、プラスティック製の鉄道模型キットを多くリリースするメーカーのPLUMから、小型機関車2種の新製品発表がありました。各種税込み3,850円という手頃さながら、その魅力は無限大。色を変えてお好みの専用線仕様に仕立てても良し、ディスプレイしても良し、動力を組み込んで入換遊びをしても良しと、貨物ファンにとって遊びの幅が一気に広がる製品発表でした。そこで、今回は発表された2種に類似した機関車が活躍した今は無き専用線の様子をご紹介していきたいと思います。

【写真】廃止から7年 在りし日の南四日市駅JSR工場専用線の写真をもっと見る

■南四日市最後の専用線

 中京地区は工業地帯でもあり、貨物ファンにとって見どころが多い地域ですが、その中でも四日市地区は非常に高い人気を集めているといえるでしょう。セメント輸送や石油輸送などの車扱貨物が行き交うその姿は多くのレイルファンを魅了しました。そんな四日市地区の中でも、一見地味ながら、ディープな魅力がある専用線が、四日市駅の一つとなりの南四日市駅にありました。

駅に隣接したヤードにはスイッチャーが2機待機中。今回、製品発表された機関車と類似したタイプだ。

 南四日市駅に隣接する化学製品企業であるJSRの工場専用線が今回ご紹介する専用線です。四日市駅周辺で見られるような車扱貨物ではなく、コンテナ貨車が連なる列車は一見すると普通ですが、当時現役だった国鉄型ディーゼル機関車のDD51が牽引するコンテナ列車は圧巻でした。さらにヤードでは入換行われるなど、かつては各地でみられた光景がここにはありました。

■国鉄型DLが牽引 スイッチャーが動きまわる!

 南四日市駅は、ヤード併設の旅客駅で、かつては現在の伊勢鉄道の前身である国鉄伊勢線の起点でもありました。また、貨物駅でありながら、貨物ホームを持たないその佇まいは、かつての車扱貨物の栄華を感じることができます。なお、このヤードには味の素、三菱化学、三菱瓦斯化学など複数の専用線が接続しいていました。以前は多くの貨車で賑わった広大なヤードにポツンとおかれたスイッチャーが寂しげですが、列車到着前になると一気にその活気を取り戻していました。では、その様子を写真でご紹介していきましょう。

▲11時頃、工場から発便の貨車がヤードに引き出されていく。引き込み線の有効長の関係か、編成が分割されている。

▲12時頃、四日市方から着便が到着。この日の牽引機は愛知機関区所属のDD51 1028号機。

▲着発線から専用線に接続している箇所まで本務機が入換を行う。

▲本務機が発便の貨車を牽引して着発線で小休止をとる。ヤードにはDD51の力強いブロアー音が響いていた。

▲午後に入って着便の荷物が工場へ入っていく。

▲工場内の小ヤードで機回しを行い、わずか4両のコンテナ貨車をさらに2両ずつに分割する。

▲何度か専用線のなかを行ったり来たりし、工場内のプラットホームに貨車を押し込むと貨車門が閉められた。

 DD51が牽引する貨物を小さなスイッチャーが編成を分割して工場内へ押し込む光景は、今となっては見ることができなくなりました。しかし、模型でこれを再現してみるのはいかがでしょう。レイアウトを組む際は、エンドレスの駅にヤードを設け、コントローラーを2個用意して専用線部分も別途操作可能にすると楽しいかもしれません。また、実物同様にあえて荷役線の有効長を短く設定し、編成分割をしてみるなど、その楽しみ方は無限大でしょう。
 今から遊び方を考えたくなるPLUMの小型機関車に今後に大きな期待が膨らみますね。

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