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特集・コラム

終点まで行く車両がない? 不思議な荷物列車の魅力

2025.06.18

    text:RMライブラリー編集部

▲D51 1007に牽かれ関西線を行く荷物専用列車。荷物列車の最盛期であった高度経済成長期は、まだ蒸気機関車が多数見られる時代であった。

1970.4.6 加太-中在家(信) P:和田 洋

 

 日本の鉄道創業以来、荷物輸送はつねに旅客輸送に寄り添う形で発展してきました。長距離の旅客列車の一端には荷物車両が連結され、旅客が乗り降りするのと同じホームで荷物の積み下ろしがなされていました。

 しかしそうした旅客列車に併結しての荷物輸送も限界に差し掛かります。それまで1~2両の連結であった荷物車が需要の増大により3両以上になることもあり旅客輸送に支障が出ること、また荷扱いに必要な停車時間の確保が列車速度の向上を妨げること、車両が客車から電車・気動車へと進展することで荷物車の連結が困難になること、などの理由により、各幹線に荷物輸送の専用列車を運転する方針となりました。1961(昭和36)年10月改正のことです。

 

▲1961年以降、全国の幹線に多数の荷物専用列車が運転されるようになった。

出典:RMライブラリー第300巻『国鉄の荷物列車』

 荷物専用列車には、旅客列車では見られない特徴がたくさんあります。

 一例を紹介すると、ほとんどの車両がまとまった編成を組んで同一目的地を目指す旅客列車とは異なり、荷物列車は駅に着くたびに1両単位でこまめに連結・解放を繰り返していき、始発駅と終着駅で編成が異なるばかりか、列車によってはすべての車両が途中で入れ替わってしまい、始発駅から残る車両がないケースもあったそうです。

▲これは「急荷31列車」という汐留発鹿児島行荷物専用列車の編成図(1980年10月)。文字が少々読みにくいが、編成中の車両それぞれに連結区間が指定され、駅到着のたびにこまめに連結・解放を繰り返していく様が図表に描かれている。

出典:RMライブラリー第300巻『国鉄の荷物列車』

 

▲こちらは北海道の函館発旭川行「荷43列車」という荷専併設列車の編成図(1961年10月)。長万部~札幌間は旅客車も営業し43列車として運転される。編成表を見ると、函館から旭川まで全区間を通して走る車両は1両もない。

出典:RMライブラリー第300巻『国鉄の荷物列車』

 

 このような荷物列車に関する具体的な話題は、2025年6月下旬発刊予定のRMライブラリー第300巻『国鉄の荷物列車』に詳しく掲載いたします。

 1999年に創刊のRMライブラリーは、今年2025年で通巻300巻を達成します。『国鉄の荷物列車』では、今なおレイル・ファンに人気の荷物列車について、その魅力や運行方法、編成、荷物扱い駅など、旅客列車とは大きく異なる輸送システムについて、通常の倍のサイズの96頁で解説します。

 

RMライブラリー第300巻『国鉄の荷物列車』

著者:和田 洋(わだ ひろし)

■B5判/96ページ

定価:2,200円(本体2,000円+税)

■2026年6月20日頃発売

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