鉄道友の会が主催し、鉄道分野に関する優れた著作物または著作物に関わる功績に対して贈られる「島秀雄記念優秀著作賞」に、弊社ネコ・パブリッシングの刊行物2点が選定され、去る3月2日に授賞式が行われました。
P:鉄道友の会
■単行本部門
・藤田吾郎『70 系戦災復旧客車 ―その形態バリエーションー』(上・中・下)
●選定理由
70系戦災復旧客車は、太平洋戦争中に被災した車両を応急的に復旧したもので、再改造や劣化による廃車のペースが速く、1980年代に事業用車としてわずかに残るのみでした。戦後の混乱のため被災車鋼体を生かした工場判断による個別的改造も多く、全体像が不明確なため「種々のバリエーションがある」と総括され、1946~1950年に製作された 376両の実態は不明瞭のままでした。
著者はその外観バリエーションを明らかにすることを目ざし、写真や図面などを基に調査を進め、復旧前の車体が残存するケースは 58両、車体や台枠を利用して復旧されたケースは 315両であることを明らかにしました。この結果、未確認はわずか3両に絞られたとのことです。従前調査による写真や測定データなどに基づき85タイプを図面化していることも特筆されます。
現車がほぼ消滅した現在、散逸が進む古い資料・記録を博捜してその実態を明らかにした類例のない書籍であり、鉄道趣味界への貢献が極めて大きいと考えられ、受賞作に選定しました。
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■特別部門
・浅原信彦『ガイドブック 最盛期の国鉄車輌』1-16
●選定理由
1968年前後に国鉄に在籍した電車、電気機関車、蒸気機関車を網羅的に解説した本誌は、国鉄時代を知る者だけでなくこれからの世代の趣味者にとっても、当時の車両の全容を知るうえでよい手引書と言えます。電車や電気機関車については昭和初期から高度成長期の輸送力増強に到るまでに導入された車両技術や車両の使用状況を体系的に取り纏めており、いっぽうで蒸気機関車では地域の事情に合わせた仕様の変更や改造など趣味的な視点も織り交ぜた構成が目を引きます。
著者が17年をかけて纏め上げた16巻という壮大な取組みは類を見ないもので、特別賞に値するものとして選定しました。
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※既刊のうち、1~5、7、9~13巻はオンデマンド版で好評発売中。
※それ以外の巻は完売となっております。