text:RM photo:松本洋一
取材日:’25.2.26 場所:西院車庫
取材協力:京福電気鉄道
「嵐電」の呼び名で親しまれている京都の京福電気鉄道。そこに斬新な新車としてモボ1形が登場しました。名付けて「KYOTRAM(きょうとらむ)」。去る2月28日より営業運転が開始されたばかりの注目の車両をご紹介しましょう。
▲パンタ側から見た形式写真。ヘッドライト点灯状態。
▲非パンタ側から見た形式写真。テールライト点灯状態。
▲ラウンドした前面にメッキパーツで囲んだLED前尾灯ユニットを人の視線の高さに配置。アイコニックな表情を生み出しています。
「Timeless Design」、すなわち過去・現在・未来をつなぐ時代を超えるデザインをテーマとして構成されています。先頭部の丸みはかつての路面電車がそうであったことから採用されました。一方で屋根・腰帯・バンパー・スカートは水平基調で統一され、近代的な印象を与えています。
嵐電の象徴である京紫をメインとして、ホワイトとブラックでコントラストを効かせ、シルバーの腰帯を組み合わせることで「まち」の風景に馴染みつつ、日常に華やかな彩りを添えています。
▲木目調の床板、天井を持ちます。LED照明は直接式と間接式の併用。ロングシートの袖仕切りはラウンド形状で手すり一体型です。
▲運転室背後の仕切り壁。左手に運賃箱、中央上部に横長のディスプレイを配置。
▲ロングシートは2+4+4+2人掛けで仕切られています。このうち4人掛けが通常の座席。
▲ロングシート両端の2人掛け部分が優先席としてモケットが紫色となります。
▲ドア脇に設置されたラウンド形状の手すり一体型簡易テーブル(USBポート付き)。
▲車椅子・フリースペース部分。
快適で落ち着いた車内空間。室内照明とともに落ち着いたトーンでまとめられたインテリアカラーは、新設計の仕切板や手すりの形状も相まって、日常の都市交通としての快適性と安全性、安心感のある落ち着いた移動空間を提供してくれそうです。
▲インダイレクトマウント構造のボルスタ台車FS94を装着。TD継手式平行カルダン方式の動力機構を片軸に組み込んでいます。固定軸距は1,800mm、車輪径は660mm。
▲パンタを右手に見る側の床下機器。メインスイッチ、断流器、グランドスイッチなど。
▲パンタを左手に見る側の床下機器。蓄電池、VVVFインバータ、SIVなど。
▲トムリンソン式密着連結器と電気連結器。
▲シングルアーム式パンタグラフ。
▲屋上に設置されたクーラー。
▲丸いカバーが付けられた安全確認カメラ。
▲乗務員扉ステップと一体化された車幅灯。
▲1軸ツーハンドルマスコンの運転台。
▲側出入口横の小型固定窓にはガラス一体形LCD案内表示器(彩ビジョン)が取り付けられ。4ヶ国語で表示されます。左手のグラフィックが「嵐電小紋」。
KYOTRAMは2月28日午後の四条大宮15:58発臨時嵐山行きから営業運転を開始。当面、嵐電公式Xで翌日の運行予定が毎日告知されることになっています。
本年度はこの1両だけの製造予定ですが、今後2028年度にかけて計7両が製造予定となっています。