text&photo:福島鷺栖
取材日:2021.5.24
鉄道ホビダスの新連載!「専用鉄道に行ってみた -知られざる線路の先へ-」が始まりました!この連載では普段知る機会の少ない全国の「専用鉄道」にスポットを当てて、その知られざる世界を覗いていくコーナーです。初回は横浜の港湾地域を拠点とする神奈川臨海鉄道本牧線を取り上げます。ついつい見入ってしまう機回し作業は必見です!(編集部)
▲港湾職員団地を縫うように貨物列車は進んでいく。周囲は交通量も多いので付近を通行の際は周囲に注意して撮影するようにしたい。
【写真】どうやってやってるの!?都会の貨物駅で行われる魅惑の機回し作業の写真はこちら!
みなさんこんにちは。福島鷺栖と申します。今回から始まりました「専用鉄道に行ってみた -知られざる線路の先へ-」のコーナーを担当させていただきます。生まれは大阪、幼少のころから梅田貨物駅や安治川貨物を見て育った生粋の貨物好きでありつつ、模型も貨車を中心に集める「貨物の沼」にどっぷりつかるレイル・ファンでございます。このコーナーでは貨物専用鉄道にクローズアップし、現役線のみならず、廃線跡まで幅広く取り扱っていく予定です。
■港町横浜に残る港湾拠点貨物駅?
港町横浜は明治時代の開港以来、世界と日本の玄関口としての役割を果たしてきました。その誇りは横浜市歌「されば港の数多かれど、この横浜にまさるあらめや」の一説にも込められています。そんな横浜の重要な港湾地域の一つである本牧地区に、陸と海の結節点として神奈川臨海鉄道横浜本牧駅があります。
▲根岸駅から分岐した神奈川臨海鉄道本牧線は首都高湾岸線の真下を通り横浜本牧駅に南から入る。(出典:地理院地図)
■バスで行ける都会の貨物駅!
神奈川臨海鉄道は川崎地区とこの横浜本牧地区の2拠点で営業を行っておりますが、今回は横浜本牧地区にスポットを当てていきます。横浜本牧駅は主にコンテナを取り扱っている他、東京メトロや横浜市交通局向けの新車が甲種輸送でやってくる時の終着駅にもなっています。定期の貨物列車は主に平日に運行されており、甲種輸送は定期列車のない日曜日着に設定されることが多いようです。なお、周辺に最寄り駅はありませんが、横浜駅から複数系統バスが来ていますのでアクセスは比較的容易です。
■到着後列車を分割!機回し2回!
▲機回しの連結シーン(写真は全て敷地外より撮影)。
▲本牧埠頭駅の全景。コンテナ荷役線1本のシンプルな配線。
この横浜本牧駅で特筆されるのは、列車が到着すると貨車の切り離しや機関車付け替えのために、機回しが2回行われることでしょう。流れとしては下記の通りになります。
- 貨物ホームに滑り込みます。
- その次に横浜本牧駅の先にある本牧埠頭行きの貨車を切り離してから機回しを行い、一旦本線上に引き上げます。
- その後、推進運転で本牧埠頭方面へ押し込みます。
- 本牧埠頭方面に機関車を付け替えるため再度機回しを行います。
- 誘導員と添乗員が無線でやり取りを行いながら慎重に機回しを行い、貨車と連結します。
写真つきの詳しい機回しの流れについては、ページ上部の写真リンクもぜひご参照ください。
横浜という大都会にありながらも港湾地区のディープな貨物シーンを間近で堪能することができるのは全国を探してもここくらいかもしれません。今回は定期列車の様子をお伝えしましたが、甲種輸送の様子はまた別の機会にご紹介できたらと思います。ぜひ興味を持たれた方は、横浜本牧で貨物ウォッチングをしてみてはいかがでしょうか。今では珍しくなった「港湾地区の貨物」を見ることができることでしょう。ちなみに先述の通り、定期貨物列車は主に平日運行になるのでご注意ください。