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特集・コラム

鉄道模型と電子工作 似て非なる「ハンダ付け」一体どう違うの?

2024.09.15

text:RM LIBRARY編集部

「もう一本、腕が欲しい…」
 電子工作のハンダ付けではそのような経験をした方も多いかと思いますが、鉄道模型工作においては、これらとは異なるやり方なのをご存知でしょうか。

 一般的に「ハンダ付け」と言われて思い出されるのが、中学の授業で行った電気回路工作のハンダ付けでしょう。結線すべき部品や電線、そしてハンダとハンダゴテこの三つが同時に同じ場所で重ならないと、熱を伝えることも、ハンダを流すこともできず、苦戦したという方は少なくないと思います。
 また、作業をしていくうちに部品を押さえる3本目の腕が欲しい…と思ったりしたものです。そうした経験があるためか、多くの方が「ハンダ付け=めんどくさい」と考えているかもしれません。
 ひるがえって鉄道模型のハンダ付けをも「あんな正確にハンダで組めるなんてよほど器用なんだな」などと思っていませんか?実は鉄道模型の工作で行なうハンダ付けは、電子工作のハンダ付けとは全く異なると言っていいやり方で行なわれます。

▲左から順に、ハンダの流れを促進するフラックスという液体を棒で塗布。次にハンダをコテ先に付けた、熱いコテを張り合わせる部材に置く。そして「ジュ!」という音がしたら、手前に引く。すると接合面にコテ先からハンダが流れて接合部分を埋める。

  1.  上に示したのは、鉄道模型のハンダ作業の基本動作です。文字に起こして整理すると。およそ下に示した動作になります。
  2. ハンダコテの先にハンダを付ける。(これをハンダメッキという)。
  3. ハンダ付け促進剤「フラックス」を接合個所に塗る。
  4. 既に熱を与えているハンダコテを接合部に充てる・3秒ほどすると接合部分に溜まった促進剤「フラックス」が煮えて「ジュ」と音が出ますが、これが温まったという合図。
  5. ハンダコテを接合部分をなぞるように動かすと、コテ先にハンダメッキされたハンダが流れて接合部に移り、部品同士が接合させれる。

 大まかにハンダ付けの流れはこうなります。電子工作のハンダ付けと決定的に違うのは「フラックスが存在すること」「ハンダが電子工作の糸状の物でなく塊状のもの」「ハンダコテの先端が熱を伝えるため太い」ということが言えます。

 イラストでハンダ付けの作業をわかりやすく説明すると上に示したようになります。

 先ほどの中学時代の電子工作の経験から「3本目の腕が欲しい」という思いは抱かないのかと言われれば、そんなことはありません。そのため、こうした方法で部品を仮止めしています。

▲クリップで仮止め。このように部品同士をカッチリ止めたい場合はこのようにクリップや、練り消し状の粘土などで仮止めして接合する。

 さて、鉄道模型向けのハンダ付けの基本がわかったところで、さらに詳しく知りたい方は、現在発売中の『令和新版 鉄道模型ハンダ付け入門』に書かれていますので、経験者の方も、そうではない初心者の方も、ぜひお求めの上、金属モデル工作に挑戦してみてはいかがでしょうか?


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 鉄道模型の車両工作の素材は大きく分けて、プラ・ペーパー・金属の3種に分かれます。その中で長い伝統があり、素材として経年による劣化が少ない点で信頼性があるのが金属による工作です。加工性に優れ、かつ十分な強度があり、安価で手に入るという点から真ちゅうが伝統的に使われています。この真ちゅうを使って車体を組み立てる時の接合方法となるのがハンダ付けです。

 ハンダ付けをするためにはどのような道具を揃え、どのようにハンダゴテを使いまわすのか、そのためのあらゆる工作シーンに対しての技法を解説したのが本書になります。

 本書は、2014年に刊行した『鉄道模型 ハンダ付け入門』を基に、2018年の改定を経て、今回『令和新版 鉄道模型ハンダ付け入門』として、2度の改定を経ました。特に従来よりも16ページに渡って記事を追加し、製作実例も2つ追加。さらに巻頭にはハンダ付けによって組み立てられた作品をグラビア的に紹介する記事も収録しています。

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