2024年4月から運行が開始された「やくも」の273系。順次381系を置き換えてきましたが、ついに6月15日、午前運行の「やくも1号」をもって、381系での定期運行はすべて終了となりました。これは国鉄型特急電車による定期特急列車の最後…ということを示しておりますが、もうひとつ見納めとなるものを思い出しました。
P:三ツ矢健太
そう、エル特急のマーク! 「え、『やくも』ってまだエル特急だったの? ていうかエル特急って何?」と思う方もいるかもしれません。
■そもそもエル特急とは
エル特急とは、「数自慢、きっかり発車、自由席」をキャッチフレーズとして比較的本数の多い特急列車に冠せられた愛称です。逆に言えばそれまでの特急列車は「数少なくて、半端な時刻発車、全部指定席」という感じだったのですね。国鉄時代の1972年に制度がスタートし、アルファベットのLをモチーフとしたこのマークが登場しました(ヘッドマークに入るようになったのは、絵入りヘッドマークの時代から)。
「やくも」は1975年のダイヤ改正で増発された時点でエル特急に指定されていますが、当時伯備線が非電化だったため使用車両はキハ181系。全国的に珍しい、気動車によるエル特急という存在でありました。
キハ181系の時代はヘッドマークが絵入りになることはなく、1982年の電化によって381系に置き換えられて初めてヘッドマークにエル特急マークが入ったのです。
■エル特急の退場
特急列車の大衆化を推進する画期的な施策であったエル特急ですが、全国的に特急網が整備される中、わざわざ差別化する意味合いが薄くなり(もともとエル特急と普通の特急とで、料金などに差はありませんでした)、民営化されたJR各社ではそれぞれの考えに従い、順次エル特急という制度を廃止していきます。
「やくも」を運行するJR西日本では2010年に制度を取り止めたようで時刻表からエル特急マークが消えていますが、表示幕からわざわざ消去する措置を取らなかったため、今なおこのマークを見ることができていた…という次第。
エル特急制度を最後まで維持していたのはJR東海で、2018年まで残されていましたが、既にエル特急マークを見かけることはありません。
381系「やくも」に取り残されたエル特急マークも、車両の置き換えと共に見納めとなりました。381系だけでなく「エル特急の時代の真の終焉」を我々は目撃したのかもしれませんね。
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381系「やくも」の雄姿をたっぷり収録したムック、題して「ザ・ラストモーメント 381系「やくも」」はもうご覧いただけたでしょうか。
381系の興味深い振り子装置の発達史と、後継の振り子車両たちを一覧できる記事を掲載。そしてこの「やくも」のラストワンとしての存在を珠玉のグラフでご紹介します。
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