185系

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この顔もそうなの!?平たく個性的な「切妻顔」を持つ113系・115系たちを知る!

2024.05.24

text:MSかぼちゃ(X:@MS3167)

 111系・113系・115系といった直流近郊型電車の研究を活動のメインとし、鉄道系サークル「日本かぼちゃ電車学会」の主宰も務め、動画や同人誌でその成果を発表しているMSかぼちゃさんの連載!「徹底研究!国鉄近郊型電車113系115系」。今回は113系・115系のうち、平らな所謂「切妻顔」となった先頭化改造車のグループについて詳しく解説していただきました。オリジナルとは大きく異なる顔ですが、バリエーションもいくつかあり、JR西日本の同系列らしい特徴として、趣味的にも注目を集めています。(編集部)


 JR西日本の113系・115系に見られる、切妻(平らな形状を持つ顔)構造の先頭化改造車。引退から15年以上を経てもなお、未だにファンに親しまれている「サンパチ」こと113系3800番代を筆頭として、系列全体でも極めて特異的な外見を持つこのグループですが、2024年5月現在山陽地区で3種の115系が活躍しています。

【写真】個性的な切妻先頭化改造車たち!ユニークな顔立ちを写真で見る!

▲非貫通型の前面が特徴のG編成。

’21.4.3 伯備線 備中川面 クモハ114-1118 P:日本かぼちゃ電車学会

 岡山区に所属する「G編成」は、クモハ115-クモハ114の2両編成ワンマン車です。
 下り方先頭車・クモハ114の103系をほうふつとさせる非貫通型の前面が特徴で、体質改善40Nが施工されています。
 この車両に限らず、JR西日本に所属する2両編成の113系・115系は体質改善40Nを施工していることが多いのですが、これらの工事では一般的な体質改善40N車と異なり車内の更新が各部で省略されており、ボックスシートの内装を留めています。
 また、この車両と同様の前面スタイルを持つ車両として和歌山地区で2020年まで活躍した2両編成の113系も存在しますが、こちらは両端先頭車が切妻顔先頭車になっている他、ヘッドライトの形状にも差異が見られました。
 伯備線を中心に、山陽本線倉敷〜瀬戸間、山陰本線伯耆大山〜西出雲間、赤穂線東岡山〜播州赤穂で運用しており、特に伯備・山陰本線新見〜米子間では主力として活躍しています。全編成が第2パンタを増設しており、通年で2基のパンタを上げて走行しているほか、朝ラッシュ時にはG編成同士を併結した4両編成も見ることができます。

▲D編成のクモハ115にも、先頭車化改造された車両が存在する。

’24.5.6 山陽本線 三原 クモハ115-1711 P:日本かぼちゃ電車学会

 岡山区の主力である3両編成の「D編成」にも、切妻構造の先頭車が存在します。D-28からD-31までの4本が該当し、上り方先頭車のクモハ115が切妻構造の先頭車です。
 低運転台の前面が特徴的で、同時期に改造された加古川線用の103系3550番代もこれに通じるデザインを採用しています。
 切妻構造グループでは最長の3両編成を組成し、なおかつ体質改善30Nを施工しています。また、ワンマン対応工事(準備工事とも)も施工しており、車内や運転台の一部に他の車両との差異が見られますが、実際にこれが使用されたことはないようです。
 岡山に所属する他のD編成と分け隔てなく、山陽本線を中心に岡山地区各線で運用され、運用によっては同じD編成と併結した6連、4両A編成と併結した7連にも充当されます。

▲下関区に4本が所属するT編成は、福知山からの転属車である。

’21.3.24 山陽本線 下関 T-12編成 P:おれんじらいん(日本かぼちゃ電車学会)

 下関区も2両編成の115系が存在し、「T編成」を名乗っています。
 G編成と同じくクモハ114が切妻構造の先頭車ですが、前面スタイルは大きく異なり高運転台・貫通型の前面が特徴で、G編成同様体質改善40Nが施工されています。
 このグループは改造当初は福知山区に投入されたワンマン対応車であり、2008年にワンマン機器を撤去の上、下関に転属しています(1本だけ福知山区に残留しましたが、2022年に引退)。ただ、下関地区でも2023年より都市型ワンマン運転を開始しているため、方式こそ異なるものの1つの車両に2度ワンマン工事を行っている特異な経歴を持っています。
 山陽本線下関-新山口間で運用していますが、運用はここ数年間縮小傾向にあり、現在では朝晩に限られています。
 また、T-11編成は第2パンタを装備していますが、岡山区とは異なり使用を停止しており、通年1基パンタで運用されています。

▲2023年より、クモハ114の前面タイフォンカバー形状が変更されている。

’23.6.27 山陽本線 新山口 T-13編成 P:がんとく

 2024年5月現在、岡山地区には227系500番代が投入されており、115系をはじめとする国鉄型電車の勢力は縮小の一途をたどっていますが、これら切妻顔グループに更なる廃車は発生しておらず、山陽地区に配属された車両は全車が籍を有している状況です。特にG編成はワンマン装備を持っており、伯備線新見以北に定期営業運用を持つ唯一の近郊型電車であるため、しばらくはその姿を見ることができそうです。しかし、D編成とT編成に関しては運用数が減少を続けており、場合によっては近いうちに全滅…とはいかずとも、廃車される編成が出てもおかしくない状況です。
 山陽地区に生きる個性的な顔の115系たち、今後の去就にも注目です。

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