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特集・コラム

【日本のコンテナも】ヨーロッパの貨物列車を観察!意外と知らない法則とは

2024.03.11

text & photo:橋爪智之

▲長大な貨物列車を牽引するメトランスの386型(TRAXX2)。複電圧仕様で、ドイツやオランダの港湾都市と中欧各国との間を結んでいる。

 日本と同様、今や世界の鉄道貨物はコンテナ輸送が主流となりつつある。貨物輸送が大きな比重を占めるヨーロッパの鉄道でも、様々なコンテナ貨車が活躍している。車両限界が日本より大きいヨーロッパでは、鉄道によるISO規格の海上コンテナ輸送も頻繁に行なわれており、国を跨いだ広範なネットワークが築かれている。
 今回は、中欧とドイツおよびオランダの港との間を結ぶ民間貨物鉄道会社、メトランス(Metrans社:チェコ/親会社はドイツのハンブルク港湾物流有限会社Hamburger Hafen und Logistik AG / HHLA)のコンテナ貨車について、簡単にご紹介しよう。

【写真】海外の鉄道コンテナの積み方・形式の見方を写真でチェック!

■標記される貨車形式の見方は?

 車体には、大小のアルファベットを組み合わせた形式名が標記されているのを見ることができる。これはUIC(国際鉄道連合)で定められたもので、それぞれのアルファベットには意味がある。
 最初の大文字Sは「特別平床ボギー貨車」で、コンテナ貨車の多くは最初にSが標記され、2軸コンテナ車の場合はここがLとなる。大文字に続く小文字は、それぞれ意味があるが、桁によって特定の意味合いを表すものではなくアルファベットの順番に標記され、その貨車の特徴を表している。
 Sggnss型を例に取ると、2~3桁目のggは最初の大文字との組み合わせで意味が変わり、S+ggの場合は「車体長80ftまでのコンテナ車」となる。nは積載制限クラスC(ヨーロッパは路線ごとにクラス分けがされ、路盤や線路が貧弱な路線は重量や最高速度に制限が加えられる。クラスCは最も高規格のランク。)における最大荷重は60tまで、ssは最高速度120km/hを示す。つまり、「最高速度120km/hで車体長80ft以内、最大荷重60tのボギー台車付きコンテナ積載用平床貨車」ということがこの文字列から読み取れる。
 Sggrss型の場合はrだけ標記が異なるが、rの意味は連接式を示し、「最高速度120km/hで車体長80ft以内のボギー台車付きコンテナ積載用平床連接貨車」となる。

■コンテナの積み方

 26m弱ぼボギー車であるSggnss型は、20~45ftのISO規格海上コンテナをすべて積載することが可能となっている。ただし重量バランスなどの関係で積み方が決められていて、闇雲に積載すれば良いというものではない。模型で遊ぶ際の参考として、ここではいくつかの積載パターンをご紹介しよう。

●40ft×2個
80ft(約24.4m)まで積載可能な同貨車の最大の積み方。40ft ISO規格コンテナには通常サイズと、1ft(約30センチ)高いハイキューブの2種類あるが、いずれも積載可能だ。

●30ft+20ft+30ft
30ft2個と20ft1個の場合、30ftコンテナで20ftコンテナを挟むような形で積載。

●20ft×4個
これは特に難しくなく、そのまま4個積載となる。1企業の専用貨物列車でない場合、様々なコンテナが積載されカラフルになる。

●20ft+40ft+20ft
20ftと40ftを混載する場合、40ftを中央に載せ、両側に20ftを載せる。ただし40ft+20ft+20ftという積み方が禁止されているわけではなく、実際そのように積まれているケースもある。

●20ft×2
20ftコンテナを2個だけ積載、という積み方はあまりしないようで、たいていは他のコンテナと組み合わせたりする。

●45ft+26ft
Sggnss型客車は80ft対応のため、45ftコンテナは長過ぎて2個を同時に積載することはできない。そのため、45ftコンテナを単独で載せるか、20~30ft1個と組み合わせての積載となる。なお、45ftコンテナを単独で載せる場合には、車体中央に積載される。

■海外に乗り入れる日本のコンテナ

 ピンク色の一際目立つコンテナが特徴の「ONE」。2017年に、日本の川崎汽船、商船三井、日本郵船の三つの海運業者が、定期コンテナ船事業を統合して設立したのがオーシャン・ネットワーク・エクスプレス。ヨーロッパの貨物列車でも、様々な種類のコンテナに混じって積載されている姿を見ることができる。

(『RM MODELS』2024年1月号 Vol.340 連載「世界鉄道」より加筆修正)

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