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1両、4両、8両、10両、15両…路線や会社、地域で様々ある鉄道車両の編成両数。ホームドアや駅設備、相互乗り入れが発達した現代において、両数を増やすことはそう簡単ではなくなりましたが、途中から両数が増える路線・車両というのは時折見かけます。そういった時、レイル・ファン的に気になるのが「歳の差」です。
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■歳の差は離れていても同系式です
先日、東京メトロ南北線用9000系の中間増結車が報道陣に公開されました。南北線の9000系といえば、2009年まで断続的に製造されていたとはいえ、試作車の登場は1990年と今から30年以上も前のことです。今回新造車が組み込まれた9109編成も1995年製と、今から28年も前の車両になります。新造中間車は9000系でありながら、16000系を基本に製造されています。また8両化にあたり既存車両も大規模な修繕工事が実施され、足並みを揃えた形となりました。
元々6両編成だった東急目黒線とその乗り入れ各路線は、東急が相鉄と相互直通運転が開始されたことに伴い、近年8両化が続々と行なわれています。東急5080系や東急3000系も8両化され、3000系に至っては20年以上ぶりに中間車が増備。車体は3000系ではなく5000系列に準じたものとなり、編成中でも目立つ存在になっています。
■これぞ増結の醍醐味 車両形状の違い
もちろん単純に乗客が増えたことなどを理由に増結することもあります。その例としてJR九州の883系が挙げられます。1994年に登場した883系は「ソニック」という愛称が付けられ、主に日豊本線の特急で使用される車両です。そんな883系ですが、元々は7両編成と5両編成の2種類が存在していました。ですが、後年に需要が増えたことと、7両と5両でそれぞれ運用を分けなければいけない煩雑さを解消する目的から、2008年に5両編成に2両を増結、7両化して共通運用にすることになりました。その時に登場したのが883系1000番代です。
車体が違うのは一目瞭然。これは1000番代は883系ベースではなく、後に登場した885系をベースとしたためです。車体も883系のステンレス車体ではなく、885系譲りのアルミ製で、見た目から全く異なります。
■増結ではないけれど… 新造車の中に従来車
ここまでは製造後時間が経ってから増結された車両をご紹介しましたが、ここでは最初から製造年次や出自の異なる車両が混結された例をご紹介します。その例が山手線のE235系0番代と都営新宿線の10-300R形です。
E235系0番代の10号車には「サハE235形4600番代」という形式の付随車が一部編成を除き連結されていますが、こちらはE231系からの編入改造車。先代の山手線主力車両であるE231系500番代が、中央・総武線へ転出する際に10両編成に短縮され、弾き出された1両をE235系に組み込んだものです。こちらの年齢差はE235系が2015年〜19年製造、対するサハE235形4600番代は2010年〜11年製と、4年〜9年ほどの差になります。車体断面は似ていますが、雨樋部分に違いが見られます。
また、都営新宿線で活躍した10-300R形ではより車両の有効活用という点に重きが置かれています。こちらは初代新宿線車両である10-000形の中でも、6両から8両化される際に新造された経年の浅い車両たちを集め、保安装置の更新から先頭車のみを10-300形とほぼ同等のものに組み替えたもの。この10-000形中間車は1986年・88〜89年製、先頭車は2004年〜05年製造車ということで、その年の差は16〜19年ほどにもなりました。車両の設計思想も異なることから、先頭車と中間車の見た目の差は歴然で、一際目立つ存在でした。
ですが後継車の登場により従来車の10-000形のみならず、10-300R形も置き換え対象となり2017年に引退。先頭車にとっては早すぎる引退になりました。
従来車に新造車を組み込む事情は、各路線・地域・会社によって異なりますが、同一編成内で違う形態が見られるというのは、レイル・ファン視点からするとやはり興味深いものです。その反面、極端に短命なる車両が出ることもありますが、これもまた、製造時期の異なる混結編成の運命なのかもしれません。