▲常磐線を15両で走るE531系の「赤電」カラー。20m級の車両が10両、15両と連なる姿は圧巻だ。
‘23.4.19 常磐線 牛久~龍ヶ崎市 P:足立憲昭
(鉄道投稿情報局より)
普段利用する鉄道車両の1両あたりの長さですが、実は会社や路線によって違いがあります。もちろん長ければ長いほど輸送力は増えますが、走行路線の事情などもあり無闇に伸ばせば良い…というわけでもありません。
■現代の在来線は20m前後が基本
現代におけるJR在来線の1両あたりの長さは、基本的に20m程度となっています。19m以上の車両は「大型車」と区別されることもあり、主に都市部では輸送力を確保するという面から、20m級の車両を10両、15両と長く連ねた列車も多く見られます。
電車運転の黎明期では都市部でも小さい電車が走っていたりしましたが、時代が下るにつれて人口も増加し徐々に車両も大型化。そして現在のような20m級の車両を長く連ねて、高頻度に運転するようになったという歴史があります。
■18m以下の中〜小型車も各地で活躍
ただし、車両をひたすら長くすると、路線によっては沿線の施設や設備に干渉してしまうこともあります。特にトンネル断面の小さい地下鉄や、併用軌道や急カーブが多い路線などは車体が小型な傾向にあります。例えば急カーブが連続する上に併用軌道区間もある江ノ島電鉄では、1両あたり12m級の極端に短い車両が走ります。同じく急カーブが続き、さらに急勾配がある箱根登山鉄道の車両も14m級の車体を採用しています。また、都市部においても京急や京成、都営浅草線の車両は18m級の車両を現在でも基本の規格として導入しています。
ですが一概に短い車体の車両を採用し続ける会社や路線だけではありません。地下鉄の東京メトロ日比谷線とその直通先である東武スカイツリーライン(伊勢崎線)の車両は、日比谷線内に急カーブがあるという理由から長らく18m級の車両を使用していましたが、改めて路線を測定した結果、最小限の施設改良で20m級の車両を入れても問題ないことがわかったため、現在では20m級7両編成の電車が走っています。
■新幹線の「長さくらべ」
さて、在来線や私鉄各線では20mがスタンダードながら、さまざまな長さの車両が走っていることがわかりましたが、在来線に直通運転するミニ新幹線を除いた新幹線は、25mという長さが基本になります。さすがに新幹線ともなるとさすがにサイズ感が大きくなります。しかも東海道新幹線や東北新幹線などでは、25m級の車両が16両や17両といった在来線を凌駕する両数で走っています。
合計の編成長でいうと、東海道・山陽新幹線を走るN700SやN700系の16両404mが最長で、E5・H5系+E6系は17両編成ながらE6系が在来線規格の20m級車体なためわずかに届かず約401mとなります。とはいえ、E6系も在来線の中で見れば大型の車両。先頭車の長さに至っては23mもありますが、それすらも超えるフル規格新幹線の大きさには改めて驚かされます。
大きい車両から小さい車両まで、それぞれの路線の事情や輸送量に合わせて、日本では多種多様なサイズの車両が運行されています。