▲館のシンボルである39号蒸気機関車。
text & photo:RM
取材日:’23.11.5 取材協力:貨物鉄道博物館
三重県のいなべ市に、世界でも珍しいであろう「貨物鉄道だけをテーマにした博物館」があります。その名も「貨物鉄道博物館」。2003年の開業以来今年で20周年を迎え、11月5日にその記念イベントが開催されました。
▲博物館側もびっくりの人出の多さ。お天気も最高でした。
▲キッチンカーも多数出店。
この博物館、場所は三岐鉄道三岐線の丹生川駅に隣接しています。三岐線と並行した展示線路に、10両以上もの主に黒い貨車がずらり並んでいるのはまさに壮観。貨車の車種も、有蓋車・無蓋車・タンク車・ホッパ車・大物車・緩急車などバラエティに富んでおり、歴史的価値が非常に高いものです。
細長い館内には、鉄道模型レイアウト、ナンバープレート、銘板や制服などの立体資料も多数展示。ノベルティグッズの販売もあり終日賑わっていました。
この20周年の節目でのトピックは、クラウドファンディングにて資金を集め、上回りだけで収蔵されていた旧関西鉄道鉄製有蓋貨車の復元作業に着手したということ。この貨車は1900年に製造された当時としては珍しい鉄製有蓋車で、製造所は現在の地に近い四日市にあった鉄道工場だそうです。遠く茨城県で上回りだけで活用されていたのを移設したもので、下回りは完全に新製の上で展示品として蘇ることになります。
もうひとつ下回りの復元を待っている貨車が、旧ライジングサン石油所有のア1900形(後のタ600形)で、こちらは長年石川県で地上の据え置きタンクとして活用されていたもの。製造年としては前述の有蓋車よりもさらに古い1893~1898年製とされています。
こちらの博物館、有志の方からの寄付とスタッフの手弁当で運営されているというのに頭が下がります。大宮・京都・名古屋のような大博物館とはまた違った意味で、鉄道趣味って素敵だなと思えるミニ博物館…という思いを抱きました。