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209系みたいだけど違う!置き換え予定のりんかい線70-000形、その魅力

2023.11.08

▲1996年3月の第一期開業を前に報道公開された際の70-000(ななまん)形。まだ当時は4両編成な上、車両基地も地下線内の仮設のものであったため、報道公開は開業前の本線上で行なわれた。

‘95.12.5 新木場〜東雲 P:RM
(台車近影より)

 先日、りんかい線に投入される新たな車両として71-000形がプレスリリースで発表されました。これには「10両8編成の導入」が明記されており、現在活躍する70-000形と同数が製造されることになります。これにより70-000形は全車がりんかい線から姿を消すことになるでしょう。

↓209系とは似て非なる70-000形の写真はこちら!↓

■209系ベース!でも…?

 りんかい線を走る70-000形は、JR東日本が開発した通勤型電車209系とほぼ同じ仕様となっているのが最大の特徴です。現在は、各車両メーカーが基本となる車体仕様を定めてブランド化しすることは多く見られるようになりましたが、その流れは70-000形が登場した1996年頃から確かに存在したと言えます。
 実際に乗ってみると、確かに車体形状のみならず、ドアチャイムから走行音に至るまで、209系そっくり。ですが、前面デザインは209系とは全く異なる丸みを帯びた独自の形状に、内装のシート端部仕切り板は低めの形状で、木目調のデザインが施されシックな印象になっているなど、70-000形・りんかい線独自の意匠を感じる部分も多くありました。

 また、細かい部分にはなりますが、JR東日本の車両であれば車両の端の下部に所属車両基地を示す略称(東トウ:東京総合車両センター など)が標記されますが、この部分に70-000形も所属する「東臨運輸区」の名称が入り、JR車と「車両端部に所属車両基地の標記をする」という足並みは揃えつつも、標記方法が異なるのも見ていて面白いポイントでした。

 後年行なわれた更新改造では、3色LEDであった車内案内表示器が、枠はそのままに液晶ディスプレイ方式に変更され、案内できる情報量が増えました。この改造はJR東日本の209系列に行なわれた車両はなく、これもまた独自の魅力に思えます。

■209系に生まれ変わった70-000形

 先述の通り、209系をベースにした70-000形。ですが、りんかい線が6両編成から10両編成に増強する際、余ってしまった先頭車4両とモーター付き中間車2両がなんとJR東日本に譲渡。足りないモーター車を2両新造し4両2本を組み、209系3100番代として八高・川越線で活躍しました。これは「209系ベースの車両」が正真正銘の209系になっただけではなく、第三セクター会社からJRに車両が譲渡された極めて珍しい例となりました。

 ですが、この209系3100番代は70-000形より一足早い2022年に全車が引退。すでにその姿を見ることは叶いません。209系自体、初期車の登場からすでに30年が経過し、残る車両も今後の去就が注目されています。りんかい線の新型である71-000形は2027年度上期中に全8編成が出揃う予定で、最初の1本は2025年度下期に登場する予定です。

 新型車両も、近年のE233系やE235系に準ずる拡幅車体の形状を持ちながら、70-000形由来の丸みを帯びた先頭形状や、ラインカラー、木目調の妻板化粧板などを継承し、独自の魅力を打ち出しています。この71-000形も、70-000形同様に末長く愛される車両となってほしいですね。

 

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